第参拾弐話 プリンを作って試食会(後編)

 私の作ったプリンも冷蔵庫で冷やし中だし、カトリーナさんとマーガレットさんも来たし、カイさんとマリーさんの料理も完成したので、試食会が開始となった。


「まず、食べる前のカイとマリーの料理を作る手際についてだな。」

「カイからな。カイは、店で働きはじめて一年過ぎたし、ちょっとした手際の悪さはあったが、全体的には問題ないな。」

「次は、マリーな。マリーは、まだ店では働いてないが、家ではレベッカの手伝いをしているが、今回は家族の分だけでなく、三人分増えただけだが調味料の量がわかんなくなり慌ていたことが何度かあったな。

 慌てずやれば問題ないからこれから気をつけろよ。」


「じゃあ、試食会を始める。食べ終わってから感想を聞くからな」


「「「「「「いただきます。」」」」」」


 レガールを手伝って賄いを食べたときに食前と食後の挨拶をしてたらダニエルさんに何だと聞かれたので、ヒューイットさんにした説明をした。

 それからダニエルさん一家は、食前と食後の挨拶を家でするようになり、カトリーナさんとマーガレットさんは、ヒューイットさんから聞いてやるようになったらしい。


「「「「モグモグモグ ゴクン 」」」」


「「モグモグ ゴクン」」


「みんな食べ終えたな。食べた感想を言ってくれ アオイちゃん、なにかあるか?」


「いきなりわたしですか?」


「まあな」


「じゃあまずカイさんのから好みにもよりますが、生姜が多過ぎかなと思うのと、ライスは進むけどタレが醤油の入れすぎで塩辛かったです。あとはお肉も柔らかくって美味しかったですね。ダニエルさんのをこの前食べたので、比べちゃいましたけどね。だからダニエルのに比べるとその二点が気になりました。」


「ちょっと待ってくれよ。オヤジのと比べるのやめてくれよ。まあ俺も入れすぎかもと思ったなら納得だ。

 あとカイさんってのやめてくれ、年上だけど子供同士だからさ。」


「じゃあ、カイくんで」


「ああ、それでいい。」


「じゃあ次にマリーさ「私もマリーさんやめて」


「マリーちゃんでいいかな?」


「うん」


「じゃあ、マリーちゃんの料理の感想言うね。マリーちゃんのはパスタが茹ですぎかな。ソースが味付けもバッチリで美味しかったから残念だったかな」


「細かいことは後で俺が作りながら教えるから今はいいとして、目立つところとしては、アオイちゃんが指摘したところだな。」


「「「「「うん、うん」」」」


「あれ、感想言うの私だけなの? 早くおわらせようとしている?」


「その通りだ。アオイちゃんが作ったプリンなるものが気になってしかたがない。」


「わかりましたよ。じゃあ、ダニエルさんが冷蔵庫から持ってきてください。」


 ダニエルさんは急いで向かい冷蔵庫から取り出し、みんなの前に並べた。


「私が作ったプリンっていうデザートです。どうぞみんな食べてみてください。」


「!!」


「「うまい」」


「なめらかな口当たり」


「「「美味しい(わね)」」」


 ヤバい。普通の卵と牛乳で作ったのより、比べ物にならないくらい美味しい。

 この味を知ってしまったらもう地球のプリンなんて食べられない。


「これ本当にアオイちゃんが作ったの?!


「はい。そうです。」


「凄いな、アオイちゃん。これは店でも出せるレベルだぞ。材料も大していい食材使ってないのに」


「私の予想以上美味しさでしたけど……」

「レシピお教えするので、もしダニエルさんさえよかったら、レガールで出してみたらどうかと……」

「レガールを手伝った時に子供連れや家族できているお客さんが何組かいたので、子供や女性に出したら喜ばれるのではないかと……」


「レシピ教えくれちゃっていいのか?」


「はい、いいですよ。もし出すならその日の分を仕込みの時にまとめて作って冷蔵庫で冷やしておいて、注文が出たら冷蔵庫から出すだけにしておけばいいと思います。」

「はじめて出す時は、お客さんはよくわかならいでしょうから子供連れや家族できたお客さんには子供や女性だけに無料か半額とかで提供してみてはどうでしょうか?」


「それはありがてえ。レシピ教えてくれるってんなら出してえな。そしてまた売り上げがグンっと上がるなこれわ。間違いねえ」

「初出しはよくわからんもんは頼まんわな。子供連れや家族できた客には女子供だけに無料か半額で提供する案いただいたぜ。」

「甘い物は珍しいからな。女子供はもちろん、男も食ったらやみつきになっちまうな。」

「アオイちゃんが来てからうちは大助かりだせ。

本当にありがとう。」


「いえいえ。甘いお菓子は高いから貴族の人たちしから食べられないみたいなので、貴族じゃなくても食べられ、みんなが喜んでくれれば私も嬉しいですし、どんどん広まれば他の新しいお菓子とかも作られたり、広まったりするかもしれないですからね。」


 まあ、しばらくは私が新たなスイーツをダニエルさんに教えて、ダニエルさんによって広まって行くことになるだろうけど……


 そして、プリンはレガールで出すことが決まり、レシピを教え、さっきは私一人で作ったが、説明しながらダニエルさん主体で作ってもらった。

 他の料理人にも説明したり、作ってもらうことになるからレガールでは、来週からの新メニューとして提供されることなった。


 ダニエルさんたちに何で王都でもないような美味しいものを私が知っているの聞かれたが、異世界から来たからなどとは言えないので、亡くなった両親は遠い国からこの国に来たので、母から教えてもらったと説明したのである。

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