公園の先っぽ

歩き慣れた靴

くたびれた服

手荷物のビニール袋

紙袋でも何でもいい


公園の先っぽで

食をする


なんてことのない

遊具を見ながら

ぼんやりと口に含んで飲み込んで

ペットボトルの蓋をカチリと鳴らす


あまり噛まずに食べたせいで

物足りない

ごくごくと喉を鳴らして

腹を満たす


満足感はなかった

むなしさもなかったが

ぼんやりとした不安だけが

ここにある


小さな子どもが遊んでる

声をあげて遊んでる

とても無垢で愛らしい


なぜ、あれになれないのか


無垢でもない、愛でもない

声をあげたい、わけでも、ない

ただ純粋に

なれない、とわかるし望む


公園の先は普通の道路だ

車が飛び交う

普通の、道路ただ一つ


ひどく、不安になる

不安になって立ち上がる

立ち上がって公園の先っぽから

私は去った

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