お薬のプッシュ
まず錠剤を押し出し
またピニール袋に入れられた
夜の分という薬を開ける
転がる薬の色様々
彩り綺麗な物なのに
大きさが違うだけで
〝たくさん飲んでる〟
なんて思う
「これより多いわ」
「知ってる」
やりとりできると思う
なんでかって
頭がイカれちまって
頭の中に二人いるんだ
姉が優しくて
兄がちょっと怒りっぽい
だからプッシュ
何度もお薬を出しては飲み
心を落ち着かせて
兄姉がいないことに気づかされて
ひとりぼっちの時が来る
お薬が正常に働いているのは
いいことだと人は言うでしょう
薬を押し出すたびに
姉と兄がいなくなるのが悲しい
悲しいけれど心の中で
「いいんだよ」と言われ
勝手に許された気持ちになる
今日も薬をプッシュして
「さあ、飲もうね」と声がする
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます