絶景デートスポット
とある土曜の昼下がり。
コーヒー一杯片手に携え、ふっと覗いた窓の向こう。
しんと静まり返ってる、校舎の屋上、片隅の、手すりの角にちょこんと陣取る黒い背中が並んでる。
どうやら熱戦勝ち抜いて、晴れて決まったパートナー、若干微妙な空間が二羽の間に空いている。
初々しいこと、この上ない。
小高い丘から見おろす街は、遠くに海が見えている。
まごうことなき絶景のデートスポット押さえてる。
ロマンチックな感性は、カラスも人も変わらない。
左のカラスが小首を傾げ、ちょこちょこ手すりをカニ歩き。微妙な隙間を埋めたなら、右のカラスが一瞬戸惑い、埋めた距離だけ離れてく。
それでも飛んでいかないあたり、本気で嫌ではないらしい。
離れた距離分、翼を伸ばし、勿体ぶって羽繕い。それ見たカラスが左から、首を短く上げ下げし、横から啄み羽繕い、手伝いしたくて首伸ばす。
ツンツン、ちょいちょい、丁寧に、右のカラスの首筋の、柔らかそうな短い羽毛を
甲斐甲斐しいこと、この上ない。
はにかみながらのカラスのイチャイチャ、コーヒー片手に覗いてる、人間さんには気付いていない。
素敵な素敵なカップルワールド、周囲の視線は気にならない、そんなところも変わらない、カラスも人も変わらない。
微笑ましいこと、この上ない。
ふっと気付いた斜め下。
ルーフテラスの片隅の、手すりの上にもハトが二羽。
少し離れた手すりの角にも、ちゃっかり陣取るカワラヒワ。
それぞれ二羽ずつ横並び、尾っぽをふりふりご機嫌で、互いに気にも留めていない。
休みの校舎の屋根の上、鳥類オススメ絶景の、デートスポットここにあり。
まさか自宅の目の前に、あるとは思いもしなかった。
-----
土曜日にしれっと在宅残業しているワタクシもなんだかなぁですが、鳥類のリア充を目の当たりに出来たので、まあ良しとします。
あまりの微笑ましさに、ニヤニヤが止まりません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます