第22話 思考錯誤で迷走中
霙は翌日から、色々とやってみる事にした。
手芸、書道、料理、絵画、ギター、ジョギング。
「何か、違う気がする……」
そして、悩んでいた。
そんな霙を囲んで、サバイバルゲーム同好会の女子はお弁当を食べていた。
「バイトはどうかな?いろんな職種をちょっとずつ」
半蔵が提案し、それに皆がうんうんと頷いた。
「でも、少しだけのバイトって、迷惑じゃないかな」
それに、半蔵が言った。
「夏休みとかは、短期バイトって募集してるわ。それに、店がオープンする時にオープニングスタッフ募集とかって広告が入るでしょ」
「ああ!駅前の店でそんなの募集してたっけ」
マヤが思い出したように言う。
「花火大会前に、スタッフの募集もするよ」
オバQもそう言う。
「結構あるわね。短期で渡り歩いてみようかしら」
「でも、そこそこにしないと本末転倒になるからね。受験、秋からなんだから」
マヤに言われ、霙は真剣な顔で頷いた。
「忘れる所だったわ。そうね。うん、気を付ける」
それで霙は、花火大会の設営、居酒屋のオープニングスタッフ、学校図書館の点検のバイトをする事にした。
真秀はバイトの話を聞き、考えていた。
「そう言えば、プレゼントとか、贈ってもいいよな」
何がいいか、迷う。
これまで女子と付き合った事は無いので、皆目見当が付かない。
検索しかけ、手を止める。
「いや、皆が欲しくても、霙が欲しいとは限らないよな」
ピアスやネックレスや時計など、それほど欲しがるような気がしない。
(電動ガンか?弾か?丈夫で軽いタクティカルベストか?足元は大事だな。靴か)
真秀は真剣に悩み始めたが、ちょうどコーヒーを持って来た母親に訊いてみた。
「ええっと、母さん。高校生くらいの時、何が欲しかった?」
黒瀬夫人はううんと考え、言った。
「そうねえ。母さんは、もう少し身長が欲しかったわ」
「……身長……」
「そうなの。その頃キャビンアテンダントに憧れてたんだけど、身長がね、足りなかったの」
黒瀬夫人は悲しそうにそう言い、真秀はどう相槌を打とうか考えたが、
「でも、普通の会社のOLになって、お父さんと出会えたんだもの。これで良かったわ」
「そうだな。うん」
と、にこにこする母親に合わせて笑った。
(だめだ。相談する人を間違えた)
黒瀬夫人は上機嫌で、
「お勉強頑張ってね。でも、根を詰めないのよ」
と言いながら出て行った。
真秀は、ベッドで大人しく丸くなっているレインを見た。
「レイン。何がいいと思う?」
「にゃあん」
レインは一声鳴いて、欠伸をした。
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