私たちの好きな人
私と莉里は同じ日に生まれた。
同じ日に生まれ、同じように愛され、同じものを集め、同じものを愛でてきた。
だから私たちの好きな人の好みが一致することは何も不思議なことではない。
私は知っている。
莉里はきっと私と同じで俊人くんのことが好きなことを。
そしてきっと莉里も私が俊人くんのことが好きなことを知っている。
だから私は今日俊人くんに告白して付き合うことになったことを莉里に知らせるのを躊躇った。
でも今まで私と莉里は隠し事をせずにここまできたのだから。
「ねえ莉里、話があるんだけど……」
「ちょうどよかった。お姉ちゃん、私も話があるの」
一拍を置いて出た言葉は同じ。
「「私彼氏ができたの」」
お互いに顔を見合わせて困惑する。
もしかして同じ人を好きになっと思ったのは私の勘違いかもしれない。
莉理の好きになった人は俊人くんじゃなかったのかもしれない。
淡い期待をしていた私に莉里が見せた彼氏とのツーショット写真に写っていたのは紛れも無い俊人くんの写真。
「なんで……」
涙を堪えて莉里に俊人くんの写真を見せると莉里は「ひどい……」と呟いた。
私は真相を確かめようと俊人くんに電話をかける。
背中合わせに莉里も電話をかけていた。
俊人くんはどちらか一人の電話にしか出られないのに二人とも我を忘れていた。
「「はい」」
なぜか同一人物にかけたはずの二人の電話が共に繋がる。
「俊人くん!」
「健人くん!」
双子は私たちだけではなかったみたいだ。
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