第7話 五匹目

 四匹目は子猫だったが、五匹目は成猫を捕まえたようだ。いや、大人を成人って言うから大きくなった猫は成猫になるのかなと思ったんだけど、違うのかな?


――五匹目は白黒模様の猫だ。顔を正面から見ると黒い部分が三角に見える。この模様は『ハチワレ』というらしい。猫を捕まえては捨てるを繰り返しているうちに私もすっかり猫好きになったらしい――


 どう考えても猫好きがやる所業ではないと思う。今度はどこへ捨てに行ったのだろうかと日記を読み進めると、叔父は予想を裏切る場所へ猫を捨てに行っていた。


――今回は釣りのメッカである〇〇へ捨てに行った。〇〇は釣り人が外来魚を猫に与えるので有名な場所だ。〇〇なら餌に不自由する事は無いだろう、ブラックバスは不味いが、猫なら食うだろう。贅沢を言わず頑張ってほしい――


 ○○は県の中心にある釣りのメッカだ。釣った外来魚をリリースされると外来魚が際限なく増えるのでリリースを禁止されているのだが守らない釣り人が多い。回収ボックスへ捨てるのを躊躇う釣り人だが、寄ってくる猫に与えるのは罪悪感が無いらしい。でもって外来種だけではなくて野良猫も増えてしまっているのが〇〇の悩みの種だ。


――外来魚が減って我が家に来る猫も減る。一石二鳥だ――


 残念ながら四半世紀が過ぎた今では〇〇は猫と外来魚問題で頭を抱えている。叔父の思う通りにならなかった。野生生物のコントロールは人間にはできない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る