有川七海の日常
第101話 有川七海の日常①
私はカメラで写真を撮ることが好きだ。
もちろん、スマホでも写真を撮る。
そのファインダー内に収まる景色が好きだ。
ずっと、変わることのない不変の世界が好きだ。
現実は常に変化し続けている。だから、私は写真の中の世界が好きだ。
そんな私は今、陽彩と愛理と一緒に地元で有名なお花見スポットにやってきていた。
「咲いてるね〜」
「だね、満開だね」
前を歩く陽彩と愛理がはしゃいでいる。
そんな二人の後ろ姿をパシャリ。
シャッターを切る。
それに気がついた二人がこっちを振り向いて、笑顔でピースを向けてくる。
そんな二人にまた私はシャッターを切った。
二人の最高の笑顔がファインダーの中の世界に収まっていた。
「二人ともいい笑顔ね」
「今日は、たくさん写真撮ってね〜」
愛理は写真を撮られるのが好きな子だ。だから、私も撮っていて楽しい。
陽彩もカメラを向けると笑顔になってくれる。
私は二人を撮るのが好きだ。
「今日もよろしくね。可愛モデルさんたち」
「は〜い!」
「任せといて」
私たちは撮影スポットを探し歩いた。
天気も良くてまさにお花見日和だったので桜の木の下でお花見をしている家族ずれや学生たちがたくさんいた。
誰もいない桜の木の下を見つけると、私たちはそこで撮影会をすることにした。
「と、その前にお昼ご飯にしようよ~!」
「そうね。そうしよっか」
ちょうど、その桜の木の下にはベンチがあった。
私たちは三人で並んでそこに座って、それぞれが持参した弁当を食べ始めた。
「それにしても私たちもう大学生なんだよね」
「そうね。こうして三人で集まってるとなんだか実感ないわね」
「だね~。高校生の時と何も変わらないもんね~」
大学に入学してから数日が経過していた。
まだまだ、自分が大学生になったという実感はあまり湧いていなかった。それは陽彩と愛理も同じみたいだった。
私たちはみんな別々の大学に進学した。もちろん、寂しさはある。それでも、お互いが自分の夢のために選んだ道だ。この寂しさを乗り越えるしかない。ずっと一緒だなんてことはあり得ないのだから。だからこそ、私は写真の中に今のこの時間を閉じ込めておきたい。
「さて、そろそろ始める?」
「そうね。始めましょうか」
お昼ご飯を食べ終えた私たちは桜の木の下で撮影会を開始した。
満開に咲いた桜の背景は二人のことを最高に可愛くしてくれた。
私は二人に向かってカメラのシャッターを何回も切る。何十回も切ってその中の数枚だけ、本当にいいものだけを残す。
この二人を被写体に私は一体どれだけ写真を撮ってきただろうか。私が撮ってきた写真がそのまま二人との思い出の形だ。その写真を見て、何十年後かに懐かしいね~、なんて言い合えたらいいな。
そんなことを思いながら、またカメラのシャッターを切った。
「なーちゃん。なーちゃんも一緒に撮ろうよ~」
「そうだよ。こんなに綺麗な桜が咲いてるのに三人で撮らないなんてもったいないよ」
二人が桜の木の下まで私の腕を引っ張って連れて行った。
私が真ん中、陽彩が右、愛理が左、で並んだ。
右端にいる陽彩がスマホを内カメラして私たちに向けている。
三人の最高の笑顔でがスマホの画面に写っていた。
カシャ。
こうして、私たちの思い出の写真がまた一枚増えたのであった。
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