1章-幕間4

side. とある高校生


高校に入って初めてできた友達がいた。

ソイツは植物が大好きで、小さい頃に地方のローカルテレビに出たこともあるらしい。

地味で俺とも気が合って、すぐにモブ友達として仲良くなった。


ただ、一緒に遊んだりとかはしなかった。

ソイツは本当に植物が好きらしく、学校が休みになれば植物探索という事をするらしい。

何が楽しいのか分からない。

オシャレにも興味はないらしい、学生服しか見たこと無いが。

勉強も普通、特に得意な教科も無ければ苦手な教科もない。

本当にいいモブ友達だったんだ。

ところが。


夏休みが終わって、始業式。

ソイツは変わっていた。

夏休みに何があったんだ?

見た目はそんなに変わっていない。

また山歩きでもしたのだろう、日には焼けている。

でもそこじゃない。

…女子にアプローチしまくってるんだ。


確かに彼女が欲しいと愚痴りあった事はあるが、行動に移せないヘタレだからこその愚痴だ。

そのはずだったのに、目の前でソイツは楽しそうに女子と喋っている。

いや、正確にはソイツは楽しそうだが、周りの女子は引いている。

何を話しているかはここからは聞き取れない。

多分ウザがられている気がする。


もう一つソイツは変わった。

テストの点だ。

数学が100点になり、その他が赤点になった。

難しい顔をしているが、おそらく親父さんに怒られるのを覚悟してるんだろう。


仕方ない、数少ない友達だ。

このまま留年でもして距離が開いたら後味が悪いからな。

別についででいいから女子と話したいとかそういうのじゃない。

まぁたまたま偶然近くにいたなら話すかもしれないけど。


あー、俺っていい友達じゃん!

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