二発目 ジャックハント

第六匹 シェイムレス

 そんなこんなで、可愛い少女ことヘカテリーナ・ウィンチェスターと一緒に住むことになった俺であったが、さすがに年頃の女の子と同じ屋根のに住むのは、紳士的に考えて危ないと判断し、現在の家の隣に新しく小さな家を作ることにした。


で、現在、絶賛製作中である。


そうして、別の作業で手伝うヘカテリーナが不思議そうに質問してくる。


「アキトさんは、なぜ出会ったばかりの私のために家まで作ってくれるんですか? 」


俺はその問いにシンプルに答える


「助けてあげなきゃ、男が廃るってもんよ」


単純明快、こういう所で男気を見せなきゃ、いつ見せるってもんだ。それにヘカテリーナをこのまま見捨ててしまえば、俺を追放したあいつ等と同じ屑になってしまう。それだけは、俺の高潔さが許さなかった。それにあまり自分のことを話そうとはしない、何かあるのだろう。


まぁ、寝泊まりだけの機能の家ならば、俺にかかれば三日でできる。その間は、さすがに俺の家で寝てもらうが、紳士の俺は絶対に間違いは犯さないと自分のプライドをかけて誓う。


それじゃあ、残りの作業もパッパと終わらせてしまおう。ちなみに、ヘカテリーナが行っている作業は、昨日、解体したシカ肉を塩漬けしてもらっている。



∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴



 そうして、時は流れて3日後、小さな家が完成する。


「へ・・・へぁ・・・出来たぜ・・・」


ヘカテリーナはパチパチと拍手しながら、感動して涙を流している。俺はそれを見て、作ってよかったという達成感に満ち溢れる。


さて、家も作ったことだしお待ちかねの狩り出ようかなとウッキウッキで村田銃の準備をしていると、俺の野生の勘が何者かの気配を感じる。何秒か遅れて、ヘカテリーナも音を感知したのか怯えた様子で俺の腕に抱きつく。


「この気配・・・まさか・・・あいつ等じゃねぇだろうな」


そう感じた俺は、ヘカテリーナを家の中へと避難させて奴らを待ち構える。そうすれば、五人組の男女が姿を現す。


「よぉ、アキト。久しぶりじゃねぇか」


いけ好かない旅団の低級冒険者の男が俺に向かって話しかける。


「それ以上、近づくなじゃないと撃つぞ」


俺はそう言って、奴らがこれ以上近づかないように警告する。


「そんなこと言うなよ、旅団の仲間じゃないか」


リーダーらしき別の男が、虫図が走る言葉を発する。


「俺はもう旅団のメンバーじゃねぇぞ。で、何のようだ」


「そ、そうだったなぁ」


別の男は言葉を詰まらせながら、ここに来た用件を話し始める。


「アキト君は、猟師だったよな。それでなんだが、少し君が狩った動物の肉を元旅団のよしみで分けてほしいんだが」


なんだこの恥知らずな奴ら、俺を追放しておいて図々しくも肉を分けてほしいと言いだし始めた。その言葉に俺はすぐに奴らが置かれている立場を理解する。


「差し詰め、食肉を確保できずに俺に頼ってきたのだろう・・・。食肉担当者は、俺のほかに数人居たがどいつもこいつも狩りのセンスは、無かったから狩れてないんだな」


図星を突かれた男は、


「は、話がはやいじゃねぇか・・・。そうだ、つべこべ言わず、肉を分けろ」


そう声を荒げて、高圧的になる。その態度にカチンと来た俺は、猟銃を構え


「残念だが、お前らにやる肉はねぇ! とっと帰ってもらうか・・・」


そう言い放つ。その威圧に怯んだのか、奴らは


「おい、まじかよ。あいつの目マジだぞ・・・」


「俺ら、戦いに来たわけじゃねぇだろ」


「に、逃げるぞ」


そう言いながら尻尾を巻いて逃げていく。どうやら、端から戦う気はなかったようだ。


そうして、奴らが去っていき、一難去ったのを感じとったヘカテリーナが、家からそっと出てくる。


俺は、彼女に笑顔を見せ


「終わったよ」


そう優しく語りかけるのであった。

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