第三十七話 戦闘終了後
竜人族の村人たちが俺への態度を変えたことをきいたらヒストリアは適当に答えてきたのでもう一度少し睨み名が聞くと、
「皆さんが私に村を救ってくれてありがとうって感謝を言ってきたのです」
そらそうなるな。
「あれだけのモンスターを倒して村を救ったのだからそうなるな」
「いいえ、私はお兄ちゃんが取り逃がした一部を倒したに過ぎません。その大本である敵を倒しに行ったお兄ちゃんが凄いのです」
「そんなことないさ」
「いいえあります。盗賊を全て倒したのもお兄ちゃんです。そして大本である敵を倒してのもお兄ちゃんです。この里を守ったのはお兄ちゃんなのですと私は里の皆様に言いました。そうすると、一人の人がお兄ちゃんのことを勇者様と呼ぶようになり、一人また一人と広まっていったわけです」
それでこうなったわけか。だが竜人族も単純なものだ。
俺とヒストリアが話している時、
「勇者様、この度は里を救っていただきありがとうございます」
一人の竜人族は俺たちの元へと近づいてきた。
「今夜勇者様たちへの感謝を込めて宴を開かせてもらおうと思うのですがいかがでしょうか?」
一度お互いの顔を見合わせる俺とヒストリア。
そして、
「分かりました。喜んで参加させていただきます」
二つ返事で返すと大変喜んでくれた。
「それでは準備が整うま里長の家でゆっくりとお休みになってください」
竜人族の長の家へと向かうことになった。
その道中は周りにいる人から声を掛けられる。
「ありがとう」
「勇者様かっこいい!」
「握手してー!」
など、全て俺たちへの称賛の声ばかりであった。まさかあの程度のことでここまで称賛されるとは思わなかった。
そして俺たちは夜になり宴の準備が整うまでの間長の家でゆっくりと休んでいたのだが、そこには俺たちのお世話役としてサーシャがあてがわれた。
そして夜になるまでの間ずっとサーシャの話を聞くことになったのだが、サーシャの俺の呼び方が変わっていた。他の竜人族と同じ勇者様と言う呼び方にだ。
正直この呼び方に対して少し恥ずかしさがあった。今まで呼ばれたことのない呼び方であったためである。
そして時が経ち夜になる。
里の広場で宴の用意が整った。中央には焚火がたいてあり、その周りにいろいろな食糧が並べてある。そして、舞台までも用意されている。
俺は、誰があそこに立つのだろうかと考えていると、
「勇者様方、どうぞこちらへ」
俺たちは竜人族に案内されるがままについていくと舞台の上へとやってきていた。そこへ用意されている椅子が二つ。
「どうぞこちらへとお座りにください」
そこへ座るようにように促される。俺たちはその言葉に従い椅子へと座る。
「もうすぐ宴の開始となりますのでお待ち下さい」
俺たちを案内してくれた竜人族は何処かへと言ってしまった。
舞台下からは、俺たちへ凄い歓声が上がっている。
そして、
「みんなー! 静かにして、宴を始めるぞー!」
竜人族の長が舞台の上から里人たちに呼びかける。
その一言で静かになる里人たち。
「昨晩は里が出来て以来初めての災厄が訪れた。俺たち里の者は力を奪われて動けなくなり危機へと追いやられた! その時、我らが勇者、アルク様が人族の盗賊の男たちから我らを救ってくださった。しかもそれだけでなく、この村を襲おうとする魔の手からも我が里を救ってくださったのだ。そしてヒストリア様は里を襲おうとするモンスターの大群からたった一人で里を守ってくださった。小さな体からでは想像もつかないほどの力を持っておられる。今宵の宴はそんな二人の勇者様に感謝の意を示すためのものである」
竜人族の長の言葉に里人たちが大声を上げて答える。
それから皆、酒を飲んだり、食事をしたりととても盛り上がっていた。
おれとヒストリアは里の皆といろいろな話をしたり、握手を求められたりなどこの里に来た時とは大違いであったが里の人たちと仲良くなれてとてもいい日ときだったように思う。
焚火の周りでは聞いたことのない歌を歌っている者もいる。
俺は近くにいた里の人に何の歌か聞くと、里に伝わる伝統的な歌でなんでも俺とヒストリアに聞かせるために歌ってくれていると言う。
それに、歌だけでなくその周りで里に伝わる伝統的ダンスを踊っっている竜人族の女性。俺の元へ料理を運んでくれる里の人。お酒を注いでくれる女性などみんなとても楽しそうであった。
ただ、竜人族の女性が俺のカップにお酒を注いでいるときヒストリアがこちらを
俺は、そんなにこのお酒を飲みたいんだなと思っていた。
そんなとき、俺たちのそばへとやってきたサーシャ。
「勇者様折り入ってお願いしたいことがございます」
凄く丁寧な口調でサーシャが話してくる。だがそこへ、
「サーシャその話は明日にしない」
竜人族の長であるサーシャの父が止める。
「分かりました」
その後すぐ、俺たちの元から離れていくさーしゃであった。
そして、夜も更け宴もお開きとなっていったのだった。
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