第三十三話 召喚魔術使いの魔族2
魔族との戦闘。
召喚魔術師との戦闘は少し厄介。しかもこいつは俺に複数体のモンスターを召喚して戦わせようとしてくる。その上で竜人族の村を襲わせる用のモンスターまでも召喚している。
しかもその中に昨日戦ったトレントまでいた。
「おい、まさかキリス村の近くの山にトレントを出したのはおまえか」
「村の名前までは知らんが、ここ最近人間の村近くにトレントを召喚していたな。まあ昨日昨日全て倒されたけどな」
やっぱりか。
「あの時逃げたのはおまえだったのか」
「あれもおまえかよ。つくづく俺たちは縁がるようだな」
「そのようだな」
俺は召喚されてくるモンスターを倒しながら魔族と会話をする。
召喚されるモンスターの数は変わらないが速度が次第に上がっていきなかなか前に出れない。モンスターを倒すの少しずつ体力も奪われていく。
このままで完全に消耗戦でしかない。さすがに魔力も使わずに剣一つで戦うには限界がある。なら仕方がない。
「なら少し本気を出すしかない」
俺は剣に魔力を通すのと同時に属性も使いする。
「まずは火からだ」
剣から炎が出てくる。その炎によりトレントたちが切り裂かれていく。しかも先ほどの半分の力で全滅する。それ以外のモンスター達も次々に倒されていく。
次々に召喚されるモンスター。だが今その数より多くそして早く全てのモンスターを倒して行く。
やっと相手の懐まで入り込むことが出来た。
「さてそれじゃあここからが本番だ!」
俺は魔族の首目がけて剣を振る。だが、それはシールドで防がれ、さらには魔族の剣が俺目掛け振られる。それをシールドで防ぐ。
「防がれたか」
魔族が俺を見てニヤッとする。
そして正面より超近距離で魔法を発動、俺目掛けて放つ。
「こんな近距離で魔法を使ったらおまえもただではすまねーぜ」
しかも集まっている魔力の量もかなりの物だ。この威力なそこら辺いるゴブリン程度のモンスターなら一撃で跡形もなく消し飛ばせる。
だが、
「そんなアホなことするわけないだろう」
だろうなと思った。すでに目で見えないシールドを展開している。そして俺が後方へと移動しようとするとその瞬間を狙い魔法を放ってくる。しかも爆裂系の魔法を放ってくる。
だが俺だってそう簡単に魔法を食らうわけがない。
俺は爆裂系の弱点水属性の魔法でシールドを張り防ぐ。
結果お互いにノーダメージ。
「なかなかやるな人間、だがここまでだ。本当のおまえの実力をみたかったがな」
「なんのことだ」
「おまえはどこかこの戦いに集中できてないように見えるからな」
図星だった。俺は後方で戦っているヒストリアのことが気になっていた。子精霊を付与してきたがそれでも心配でしょうがなかった。
「おまえの言う通りだ。後方に置いてきたパーティーメンバーのことが気になって仕方がなくてな」
まさか俺にとってヒストリアの存在がここまで大きくなっているとは思わなかった。
「大丈夫ですよ。後方のあなたの仲間ならすでに死んでいますよ」
その言葉に俺の中で何かの枷が外れるのを感じた。
「テプロ、
「いきなり俺かよ!」
「そうだ、できるだろう」
「ああ、任せろアルク様」
俺は武器の精霊王テプロを体へと融合させる。それにより俺の体は薄っすらと白くなる。
「これが精霊との融合ってやつか」
俺は自分の体物凄く軽くなるのを感じた。
それと同時に俺は奴が出している召喚魔法陣を消滅させる。
「なかなかやるじゃないか。まさか俺にも何も気づかせずに魔法陣を消滅させるとはな」
「ああ、俺もびっくりだこんな気持ちになるなんてな」
もともと俺は今までまともに戦闘に参加してこなかった。その反動か俺には少し戦いを楽しむ傾向にあるみたいで、新たに手に入れた
だが今回俺は初めての戦闘に対して本気になれている。それもこの魔族が言ったさっきのきの一言のおかげだろう。
正直頭にはきたがそれでも心配な気持ちと同時に最後にヒストリアから聞いた一言が心の中に残っていた。
「だが一言だけ言っておくぜ! 俺の仲間は今頃お前の出したモンスターを全て倒しているころだろうよ」
「そうですか、そんな強がりを言ってる余裕はあるようですね」
「強がりかどうかお前の自身で確かめてみてはどうだ」
「そうですね」
俺は魔族との間合いを一瞬で詰める。そこに正面から剣を振り下ろす。
「またそんな単純な攻撃かよ」
先ほどのようにシールドで俺の攻撃を防ごうとしてくるが、
「そんな薄いシールドで防げると思っているのか?」
俺は魔族はったシールドを紙切れを切るように切り裂く。
だが、その瞬間後方へと躱した。
「これで少しは楽しくなりそうですね」
魔族は召喚魔法を使い二体のモンスターを召喚するのだった。
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