第十四話 ~ガイルパーティー編~ ゴブリンの巣へ
ゴブリンの巣へ着いた俺たち。
俺は早速中へ入ろとするが、
「おい! 何中へと入ろうとしている」
ローズから声がかかる。
「あんた、何言ってるの?」
それに対して疑問を投げかけたのはセシルであった。
「ここまでに戦闘を見ただけだが、今の状態でこの中に入るのはかなり厳しいぞ! 無駄死にしに行くような物だ」
「たった数回の戦闘で何がわかるのよ! 私たちの本気はこれからなの! ゴブリン如きにやられることなんてないのよ」
「そうか、わかった」
ローズはその言葉の後に何も言わなかった。
隣にいるアメリアを見てみると何かを言いたそうにしているようにも見えるが、何も言ってこない。
「もういいか、こんなところで無駄な時間を使っている暇なんてなんだぞ」
「ええ、早く先に進みましょ」
「私たちの本当の力ってやつを見せつけてやりましょ」
セシルとリアが俺にそんなことを言ってくる。
だが、ここまでのローズの態度は身に余るものがある。
まだパーティーに入ってばかりだというのにも関わらず、大きな態度、実力があるのかもしれないがさすが目に余る。
そろそろ、俺たちの力を見せつけて分からせないといけない。
それに、あいつを追い出してからアメリアの奴が俺の言うことを聞かなくなったこともかなり気掛かりだ.
アルクを追い出した時、俺に対して口答えをしてきた。それからも事あるごとに俺に対して口答えをしてくる。
かなり頭にくる。
だからこそ、このパーティー、いや、冒険者の中で誰が最強で偉いのかを分からせてやらないといけない。
俺がそんなことを考えながら巣の中を進んでいると、正面から三体のゴブリンが現れた。
手に武器を持ち、外で出会ったやつらとは違う。
「よし、俺が相手をしてやる」
俺は前に出て剣を構える。
その時、
「全員で戦わないのか!?」
またローズから。
「ガイルに任せておきなさい!」
「そうよ、ガイルにかかればこんな雑魚一瞬よ」
「あっそ」
なんなんだ。
だが今はそんなことよりも目の前にいるゴブリン三体。
一匹は剣を持ち、もう一匹は後方で杖を持ち、後一体は弓を持っている。
武器持ちのゴブリンはDランクからCランクへと上昇する。
それだけ厄介な相手なのだが、本来の力を出せれば俺にとってはなんてことない相手。
「キキーーーーーー!」
剣を持っているゴブリンが叫びながらこちらへと向かってくる。
俺は真っ向から受けて立つ。
ゴブリンの剣が上段より俺に向かって振り下ろされてくる。
それに合わせるように下から剣を振り上げる。
俺に対しての攻撃はそれだけでない。
後方から弓矢と魔法が俺に向かって飛んでくる。
「シールド」
俺は魔法と弓矢が飛んでくる方向へシールドを張る。
このシールドは誰にでも使える物で、接近戦をする前衛職から後衛職まで誰でも使うことが出来る。
俺が知る中で使えなかったのはアルクくらいだろう。
俺のシールドに魔法と弓矢が当たりはじけ飛ぶ。
それに剣を持つゴブリンの攻撃は下から振り上げた剣ではじき返す。
それと同時に体勢を崩したところに斬りかかり一匹を倒す。
残すは二体。
すぐに次の攻撃を移ろうとする杖と弓を持つ二体だが、放たれる攻撃は全て躱して攻撃を当てて倒す。
これにより三体を一人で撃破。
「どうだ!」
俺は見たかと言わんばかりのテンションで仲間たちの方を向く。
だが、
「後ろです」
俺は、背後に迫っていたもう一匹に気づかなかった。
背後に迫っていたゴブリンの短刀が俺に当たる寸前まで迫っていた。
だが、それをローズの持つ槍が防いだ。
「あなたはそれでもDランク冒険者ですか! この程度のモンスター位置の把握も出来ないとは」
ローズの槍がゴブリンを貫く。
その攻撃を俺は捉えられなかった。
「今何をしたんだ」
確かに先ほど見たときはアメリアと一緒に後方にいた。あの場所からだと俺の背後にきたゴブリンに攻撃を当てることは出来ないはず。
だが、ローズは俺の背後に迫っていたゴブリンを一撃で絶命させた。
「ただ、モンスターを倒しただけです。あの程度の相手に後れを取るとは思いませんでした」
調子に乗りあがってと言いたいがさっきのことがあるから何も言えない。
だが、
「おまえの力を見ただけさ。もし、おまえが気付かなけれ俺が倒してたところだ」
「そうですか」
なにか興味なさそうな反応。
まあいい、
「よっし先に進むぞ!」
俺は先を進んでいく。
その間、何回かゴブリンたちとの戦闘はあったが俺やセシルとリア、それにローズとローテンションで戦っていった。
俺たち三人には圧倒的と言える勝利はなかったものの確実に勝っていった。
そんななか、ローズはゴブリンに何もさせずに一回の攻撃で全滅。
一瞬での勝利。
確かな実力を持っている事が見て取れた。
だが、俺の本来の力には遠く及ばない。
まあ今日は本調子でない俺たちだが、本気をだせば余裕だ。
などと考えていると、分かれ道に差し掛かった。
右と左どちらに進むかどうか決めかねていると、
「左ね」
ローズが言ってきた。
「私もそっちでいいと思うわ」
それに続きアメリアも。
俺たち三人がどうしようか迷っている最中のことだったために混乱をした。
「何故左なんだ!」
俺は恥を忍んで聞いた。
「人の気配が左からするからよ」
そんな気配俺は感じない。
他の二人を見てもよくわからないと言う顔をしている。
だが、
「まあいい、何もなかったらここに戻ってってくればいいだけだ」
「そうね、とりあえず行ってみましょう」
俺たちは、左の道を行くことにしたのだった。
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