第四話 呪いの少女1
冒険者ギルドを追い出さた俺は街の中にいた。
暇だ!
ただその一言に尽きると言いうの俺の今の状態であった。
朝から依頼に行き、またガイルたちをサポートに回らないといけないと考えていたのだが、その必要がなくなった。
何をしたものか?
などと考えながら先程露店で買った串に刺さった肉を食べていた。
「だが、こうして日中に街の中を歩くことがなかったけど夜とは違って昼間もなかなか賑わってるな!」
冒険者として仕事しているとき、朝から夜にかけて依頼に行っていたから昼間に街の中を出歩くことなんてなかったからなかなか見る機会がなかった。
こうして見てみると、夜は食事をする店の光やそこへ集まる人で賑わっていた。
だが、昼間は奥様などの、冒険者ではない人たちで賑わっている。
この違いに気づけたことは今の俺だからこそなのかもしれない。
少しうれしい気持ちになってきた。
さて本題に戻る、冒険者として依頼を受けてもいい、なんなら他の街に行ってもいい、それか昔からの俺の夢であった俺だけのハーレムを作ろうか悩みどころである。
そんなことを考えているとき、
「た・たす・・・・・・けて・・・・・・だ・・・・・・れ・・・・・・か・・・・・・たすけ・・・・・・て」
消えそうな少女声が聞こえてきた。
聴覚を精霊の力で常時強化している俺でなければ聞き取れないような声。
どこから聞こえてくるのか、もう一度耳を澄まし集中する。
「た・・・・・・す・・・・・・けて」
また聞こえてきた。そして今度は何処から聞こえるのか方向まではつかむことが出来た。
後は、
(探知!)
俺は、探索の魔法を使い自分の周りの反応を探る。
これほど小さく消えそうな声、少女はかなり弱っていると思われる。
探索魔法で他の者とは違う弱っている反応を見つければいいだけ。
さっき聞こえてきた声で大体の方向だけは分かっているからそっちに意識を集中しておけばいい。
そして、
(これだ!)
みつけた!
だがこれは少しまずいかもしれない。
(テレポート!)
俺は瞬間移動の魔法で少女の場所まで移動する。
そしてそこにいたのはフードを被って倒れている人であった。
離れた場所からだと幼い体格であることしかわからない。
だが、すでに意識はないように見える。
人もめったに通らない路地裏。このまま放置されていれば数日も持たないよう思える。
「サンクー、少し力を借りるぞ!」
「ええ、そうしないとまずいですわ」
俺は回復や結界、聖魔術などを得意としている聖精霊王のサンクーの力を借りる事にした。
俺は精霊王たちの力を借りることで魔法を使うことが出来る。これが精霊使役と呼ばれる
少女に近づいた俺は、抱え起こして様子を見る。
フードでよく顔を見ることは出来ないが、緑の髪を持つ少女。
それに長い耳を持っており、この少女はエルフではないかと想像できる。
だがなぜこんな人の住む街なんかに森に住むエルフがいるのか分からない。
それに起こして見ると、離れた所から見るよりも幼く体は完全に衰弱しきっている。
かなり危ない状態だが、息はまだしている。
「フルヒールオーバー!」
回復魔法の中でも最上位の魔法と呼ばれている『フルヒールオーバー』、一瞬でどんな病気にケガであろうと治すことの出来る魔法をかけてみる。
すると、先ほどまで消えてかけていた少女の体力は回復しているのだが、症状自体に改善が見られない。
さすがにこれはおかしいと思った時、
「アルク様、解析の魔法を使っていただけませんか?」
聖の精霊王のセイクーに言われた。
俺はなぜとも思ったが、回復魔法で回復できなかった原因を突き止めることが出来るのではないかと思い使ってみる。
すると、
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
呪い:
十歳になると死んでしまう呪い、その際に半径二十キロ圏内を巻き込む爆発を起こす。
発動まで残り一週間
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
俺の目に映ったのは呪いであった。
しかもその発動まで後一週間。さすがにこれはまずい。その上、死後に半径二十キロ圏内を巻き込む爆発を起こすとなるとかなり危険である。
「すぐに解呪魔法を使うぞ」
俺がセイクーへ指示を出すと、
「アルク様、それは無理にございます」
「え・・・・・・えええええええええええええええ! なんでだよ! おまえら精霊王たちに使えない魔法なんてないだろうが!」
「はい、ですがこの呪いは強力にございます。現在存在する魔法の中でこの少女にかかっている呪いを解ける魔法は存在いたしません」
「そんな~~」
俺は目の前に少女を助けらないという事実に凄く落ち込んでしまう。
ガイルたちのパーティーを離れ能力の全てを使える。
そうすればどんなことであろうと俺には出来るのだと舞い上がっていたが、そうではないらしいかった。
だが、
「だれ・・・ですか? わ・・・わたしは一体どうなったのですか?」
意識を取り戻した少女が俺を見て話しかけてきた。
まだ目の焦点はあっていないようだが、何とか姿だけは捉えているようだ。
「君の声を聞いて助けに来たよ」
「あ・ありがとう・・・ご・ござ・ございます」
涙を流しながらお礼を言ってくる少女。
「でも、ごめん。俺は君を救ってあげられない。本当にごめんな」
「いえ、お兄さんが助けに来てくれただけでもうれしかったです」
涙を目に浮かべなが二コリとした少女。
俺はそれを見てどうしてもこの少女を助けられないのかと思う。
すると、
「アルク様、一つだけ手段がございます」
「本当か!?」
「はい、アルク様もご存じかと思いますが、この街の近くには複数のダンジョンがございます」
「ああ、あるな」
「その中に、一つ癒しのダンジョンと呼ばれるダンジョンがございます。そこの攻略の際に手に入る薬草はどんな呪いや病気でも治すことが可能と聞いたことがございます」
その話を聞き、少女の方を見る。
辛そうな顔。
俺はその顔を見て、
「よし! 行こうか!」
即決するのであった。
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