第8話

 国境部の防衛に失敗したマイヤード領兵は、首都であるエイデンバーグに集結しつつあった。


 想定されていた焦土戦法は実施されず、ハイセルク帝国は無傷の穀倉地帯を手に入れつつある。


 問題視されているのは旧カノア王国民からなるサリア大隊だ。要所である山城攻略に大きく貢献した彼らだが、市民・兵士問わずの略奪や陵辱が横行していた。


 見方によっては裏切り者の同胞であるのは間違い無いが、度が過ぎた為、同大隊に監視役が派遣された程だった。


 そんなサリア大隊だが、その存在が鞭の役目を果たし、村や町単位での調略の役に立っていた。併合後の統治の問題もあり、ハイセルク帝国が進んで悪役を望んでおらず、サリア大隊に火中の栗を拾わせるのを望んでいたのだ。


 攻城戦後、ウォルムは森の中を横隊で索敵していた。包囲を免れた敵の一隊がゲリラ戦を敢行しているからだ。


 策源地から孤立した存在だが、絶えず物資を狙いすましたかのような襲撃は、周囲の村が影で情報や食料類を援助しているのは確実だった。既に小隊単位で兵員が失われ、輸送を担っていた隊商の非戦闘員にも犠牲者が出ていた。


「こいつは魔法に違いねぇ」


「あー風属性と火属性ですね」


 並べられた遺体を屈んで見ていた分隊長とホゼが傷痕から使用された魔法の属性を言い当てた。


「……マジックユーザーが二人以上はいる」


 少し離れて見ていた魔法兵であるウィラートもそこに加わった。


 遺体に刻まれた傷は、風属性魔法による裂傷と火属性魔法による爆炎によるものだった。二属性魔法の使い手の可能性もウォルムは想定するが、短期間の魔法の投射量を考えると、複数人存在する方が自然だった。


「うえ、これも魔法ですか」


「なんですか、これ。顔面が潰れてる」


 新人であるノールとバリトが別の死体に顔を歪めている。急所を斬り裂かれたり、刺突された者が多い中、二人が見つけた死体は顔面を潰されたり、頭部が欠けていた。どう見ても打撃によるものだ。


「斧槍じゃないな。戦鎚にしては広く潰れてる」


 戦鎚により殴殺された死体をウォルムは見慣れている。斧槍も前回の戦いで鹵獲してから使用しており、どの様な傷が出来るかは熟知している。


 得物の正体をウォルムが考察していると、後ろから答えが発せられた。


「盾だ」


 答えたのは長年戦場で死体に見慣れている分隊長だった。


「盾ですか? それにしては……」


 ノールが信じられないと呟く。ウォルムも同意見だった。盾にしては威力が強過ぎるのだ。どんな大男が盾を振り回せばこうなるのか、見当が付かなかった。


「まさかスキル持ちですか」


 考え込んでいたホゼが分隊長に問いかける。


「おう、恐らくな。似たような死体が出来上がるのを見た事がある。その時はただのシールドバッシュで人の頭が無くなるのを見た。《強撃》と同じく使用者が多いスキル《鉄壁》だろうな。木盾ですら重厚な鉄みたいになりやがる」


 スキルである《強撃》を使用する様になって、スキルがどれほど強力なモノか身を以て知っている。同じ鉄でもスキルの有無で一方的に引き裂けるのだ。そのアドバンテージは計り知れない。


「あーあ、敗残兵の癖に面倒な相手だ」


 ホゼが心底嫌そうに呟いた。


「相手には少数の冒険者が混じってやがる。捕虜にした兵士が吐いた。負け戦だって言うのに奇特な奴らだ。だが気を付けろ。手馴れた冒険者はその辺の正規兵より良い腕と装備してやがるからな」


「倒せば良いモノ持ってそうですね」


 新兵のバリトが笑いながら言う。顔は引きつっており、明らかに強がっているのはウォルムに伝わって来る。


「おいおい、バリト、相手はスキル持ちとマジックユーザーだぞ? 例えばデュエイ分隊長、ウォルム、ウィラートを同時に相手にして勝てると思うか」


「いやぁ、俺が20人いたとしても無理ですね」


「そうだろう」


 誤りを認めたバリトを見てホゼは満足そうに頷いた。


 教育係であるホゼが仕事を全うしているのは素晴らしい事と言えるが、まるでウォルムまでもが人外組に数えられてるのは納得のいかない話だ。


「ところでアレって……」


 ノールは恐る恐る指差した先にあったのは、木に吊るされた男の遺体だった。全身が滅多刺しにされ、頭部以外は人間であった面影が薄い。


「んーアレか? 俺達の情報を売って、食料を敗残兵に提供していた村人だなぁ」


 ホゼは当たり前だろう、と言わんばかりだ。慣れていない頃のウォルムも同様の質問をした事がある。


「あ、ああ……そうだったんですね……」


 そこまでするのか、そうノールは言いたげだった。非常に悪趣味だが、戦争に於いては必要な時もある。


 少なくとも村人が情報と食料を与えなければ、30人の兵士と6人の人夫や商人は死ななかった。敵本拠地での民衆による抵抗はどの時代の軍隊でも悩まされている。民衆そのものを殲滅するか、見せしめで少数を処刑するかは、時と場合により異なる。


 生き残っていたハイセルク兵は、少数の処刑による抑制を試みたのだ。


「準備しろ。そろそろ行くぞ」


 デュエイ分隊長の掛け声で、分隊員達が森の奥へと踏み込んで行く。少数による捜索は困難を極めるため、一度に中隊が投入されて、分隊が20m置きに横隊で探索を行う。


 手練れと言えど、直ぐに勝負は付くかもしれない。ウォルムは楽観視し、他の兵士同様に森へ踏み込んだ。



 ◆



 捜索から2日目、1つの分隊が奇襲を受け12名が死亡。捜索中に罠と弓により7名が負傷、歩哨も4名が行方不明となっていた。


 幸いデュエイ分隊には被害が出ていないが、中隊全体は殺気立っており、足場の悪い森も加わり、見えざる敵に憎悪の念を募らせていた。


 捜索は長引いており、小休憩で大木に寄り掛かる形で分隊は集結していた。


「まずいなこれは」


 口を開いたのはホゼだった。


「確かに中隊規模で探し回って、戦果無しはなぁ」


 250人の人間が三日間探し回って見つかっていないのだ。決戦となる首都への移動時間も迫って来ているが、輸送路への脅威を放置するわけにもいかない。


「地元とは言え、痕跡を隠すのが巧み過ぎるぞ。相当森慣れしてやがる」


 分隊長は地面を注意深く窺っていたが、視線を先に向けた。


「手練れの斥候スカウトでしょうか」


 ウォルムの傍に控えていたノールが疑問を口にした。


「斥候だとしても一人じゃないな。本隊付近と俺達を監視している優秀な奴が二人以上いる」


 相手は敗残兵主体であり、最初から高度なゲリラ戦を敢行できる部隊だったとはウォルムは思えない。


「斥候というより、マイヤード側に付いた冒険者だろう」


 全員の疑問に答える形で分隊長が結論を下した。


「……冒険者」


 新兵であるバリトがその名を口にした。


 冒険者と言えば、大陸の半分を覆う魔領での活動。魔物の討伐・解体、迷宮・遺跡の攻略。街道や輸送隊の護衛など幅広く活動する者達の総称だ。


 その冒険者を取りまとめるギルドは。大陸のあらゆる国に拠点を持ち、組織としては戦争には介入しないと明言している。


 実態は、個人の自由意志という名の下に、現地の冒険者が傭兵として雇われる事も多く、遺物や希少な魔物の素材から作られた武具は、絶大な威力を誇り、中には単体で戦況を変えるような化け物も居る。


 更に言えば、ギルドに不利益となる争いにはギルドの私兵が投入されているとの噂も根深い。


 ウォルムの祖国であるハイセルク帝国は、軍備の増強に重きを置いており、余剰兵力が冒険者の肩代わりをしている為、冒険者の活躍の場が少ないが、他国ではあり触れた存在であった。


「確かに冒険者なら、兵士よりも監視や索敵に慣れてますね」


 弱小ながらも商人の三男として生まれ、冒険者を雇う側だったホゼが納得する様に頷いた。


 休憩しながら敵の正体についてウォルムは話に興じていたが、隊員は携帯食を摂取したり、兵隊煙草を吸うのに忙しくしている。


 ウォルムもホゼから買い取った煙草を吸い込み、ゆっくりと肺から吐き出す。


 口腔から飛び出した紫煙は、ゆっくりと空へと広がっていく。煙を味わいながら、ふと浮かんだ疑問を漏らす。


「煙草の臭いで気付かれてる?」


「馬鹿言うなって、煙草よりも俺らの体臭の方が臭うぞ。ウルフでも連れて来いよ。奴ら俺らの臭いに嫌がって近寄って来ない」


 ホゼが笑いながら否定すると、更に煙草を吸う。


「香水でもつけますか」


 バリトが本気とも冗談とも取れるように言った。


「そりゃ、名案だ。ついでにスカートでも穿くか」


 一笑いしたデュエイ分隊長が冗談を返した。ウォルムも口角を緩め、微かに笑う。


 くだらない冗談を楽しむ余裕も残り少ない。あと5分もすればウォルムは森の中で、延々と続きそうなかくれんぼの再開をしなければいけない。


 嫌々ながら移動の準備を始めようかと、ウォルムがぼんやり考え始めた矢先、悲鳴が上がると続いて数度の爆炎が生じた。


 地面で体を休めていた兵士達が跳ねる様に飛び上がると、一斉に武器を抜いた。


「3、400m先だ。索敵網に引っ掛かったぞ」


 ホゼの言葉に全員が賛同した。


「右側から大きく回り込む。囲い込むぞ。敵を逃すな。続けェエエエ!!」


 分隊長が飛び出し、三馬鹿がそれに追従する。最後尾は新兵のノールとバリトだった。


 ウォルムは身体に纏わり付く枝を掻き分け、雑草を踏み抜いて行く。整備されていない森は天然の障害物だらけだ。


 強引に突き抜ける為、背丈の高い雑草の汁が身体にこびりつく。青臭くて鼻に付く嫌な臭いだ。


 戦闘は続いていた。前回で味を占めた敵は、こちらを過小評価したようだ。分隊を殲滅、又は一撃加えて離脱する腹積りだったのだろうが、ウォルムの分隊の他にもう2個分隊が救援に駆け付け、敵の足止めをしていた。


 中隊はこの不毛な隠れんぼをここで終わらせるつもりだ。


 敵の数は想定を少し上回る30人ほど、ウォルムは敵の隊列の中央部に喰らい付いた。新たに真横から襲撃を受けた敵の対応は遅れている。


「畜生、新手だ!!」


 敵兵の一人が叫んだ。ウォルムは先日討ち取った騎士から手に入れた斧槍をそいつ目掛けて振り下ろす。先日身に付けた《強撃》を発揮するには、頑強で適した武器であった。


 懸命に携帯していた槍をウォルムへと突き入れてくるが、槍先の補強ごと槍を打ち砕く。


 すっかり短くなった槍を捨て、ショートソードを抜こうとした敵兵だったが、一歩遅い。剣を抜け切る寸前には、首が宙を舞った。


 ウォルムは更に踏み込み手首を返すと、反動を利用しながら二人目に斬りかかる。


 こちらは完全に後手に回った。ロクな回避行動も取らぬまま、胸当ての側面から入り込んだ一撃は、胴を半ばまで切断する。


 更に残りの分隊員の文字通り横槍により、10人以上の敵兵が死傷する。正規兵に混じり、服装の違う一団がウォルムの視界に入る。


「居た。先導役の冒険者だ」


 正体を見抜いたホゼが叫んだ。人数は5人、俗に言うパーティーを組んだ連中だろう。


 ウォルムは混乱する敵兵を斬り倒しながら、その集団に向かうが、魔法により発現した風の刃が迫る。


 普段ならば回避か、ラウンドシールドでの防御を選択していただろうが、ウォルムは避けずに斧槍を振り下ろす。


 発動したスキル《強撃》は瞬間的な魔法と鬩ぎ合いの末、打ち勝った。四散する様に周囲に風が吹く。


 ウォルムは攻撃者を見定めるため、視線を走らせると魔法を放ったのは冒険者だった。女、それも少女と言っても過言ではない。


 背は俺の胸程度か、茶色の髪は肩甲骨まで伸びている。武装はショートソードにラウンドシールドと一般的だ。


 厄介なマジックユーザーを潰そうとするが、三人のマイヤード兵がウォルムの前に立ち塞がる。そのうち二人の兵士が同時に槍を突き入れながら迫って来る。


 ウォルムは右に小さく回りながら、片側の兵士との間合いを詰める。顔面目掛けて突き入れられた槍を斧槍で受け流しながら懐に飛び込む。


 咄嗟に手甲で喉元を庇った兵士だが、ウォルムは《強撃》を発動させながら兵士を鎧ごと袈裟斬りにした。骨は断ち切れ、鎧の隙間から血が飛び出す。


「おのれぇええええ゛えぇ!!」


 友兵が崩れ落ち、一人減った兵士だが、間合いが詰まった事で槍を捨てロングソードで斬りかかって来る。


 思い切りの良い行動だが、水平に振られた一撃を上半身の逸らしで躱す。


 斜め左から斧槍を振り下ろすと、加速する前に受け止められた。ウォルムはそのまま力を込めながらロングソードを弾き、後ろに一歩飛ぶ。そうして間髪容れずに斧槍を突き入れた。


 兵士も崩された構えを立て直すが一歩遅い。突き入れた斧槍は、兵士の膝裏に潜り込むと靭帯を掻き切った。


「っうぁ、あ゛」


 片足で懸命に抵抗する兵士だったが、踏ん張りが利かず、ロングソードを押し切りながら喉を裂いた。


 残る一人は引くか斬りかかるか、躊躇した。ウォルムは迷わず斧槍を両手で振り切り、ガードをこじ開け、一撃を加えた。


「い、まって、ぁ、助けて」


 二撃目は必要なかった。横一直線に破れた腹部からは臓腑が溢れる。地面が瞬く間に染まるほどの出血だ。感染症も免れないだろう。


「諦めろ。助からない」


 こうなる前に逃げるか投降すれば良かったのに――そんな考えがウォルムにちらつく。


 この兵士も国、友人、家族、土地あらゆるものに絡みとられ、引くに引けなかったのかもしれない。


 とどめを刺しながら、ごちゃごちゃと考えるウォルムは酷く滑稽だろう。次の目標に斬りかかろうとした時、言葉を投げかけられた。それも敵によってだ。


 馴染みの罵倒や散り際の譫言ではない。ウォルムへの問いかけだった。


「なんで、なんで、そんな簡単に殺すの!?」


 あろう事か、ウォルムは戦場で何故殺すか問われた。話せば長くなるし、人によって答えも違う。なぜそんなものをウォルムに求める。確かに命乞いされたが、自身が致命傷を負ってから降伏されても手の施しようがない。


「戦場だからだろうが、何を驚いている。お前も殺してるだろ……これも不毛な会話か」


 女の足元にはハイセルク兵の死体が転がっていた。行軍中に一度、二度すれ違った程度の間柄だが、間違いなくウォルムの同胞である。


 女も無駄な会話と気付いたのだろう、再び魔法をウォルムに向けて放った。一度見た魔法だ。それに軌道も同じ、姿勢を低く保ちながら重心を崩して滑り込んで行く。


 間合いが詰り、少女の目が驚愕で見開かれた。


「リーティアッ!!」


 盾を持った年長の冒険者が叫んだ。間合いはもう詰まっている。横なぎに振るった斧槍は少女の首一直線に向かう。


 少女は先程までの鈍さが嘘のように鋭敏に反応した。左肘を曲げながらラウンドシールドを斜め上に構え、ショートソードを握りながらも右手を添えて、ラウンドシールドを支える。


 正直舐めていたところがウォルムにはあったのかもしれない。瞬間的だと言うのに理想的な構えだ。鍛錬を積み、実戦経験も踏んでいるだろう。


 なのに会話にかまけて、挙句つけ込まれるほど愚鈍だった。どうにもチグハグだとウォルムは戸惑うが、違和感の正体が理解出来た。


 戦場では愚かでありウォルムにとっては羨ましくもあったが、要するに人を殺し慣れていないのだ。言語による解決が出来れば実に文化的だっただろうが、国家間の戦争だ。戦闘は続いており、敵も降伏していない。


 斧槍を緩めることなくウォルムは《強撃》を発動させる。薄い光に包まれた刀身はラウンドシールドに食い込むと、そのまま食い破った。


「い、っう、っうう」


 咄嗟に離したのだろう、ラウンドシールドが地面を転がった。盾の下に手甲をしていたらしく、腕は断ち切れていなかった。


 それでも衝撃を逃しきれなかった様で、左腕を動かす度に苦悶の表情を浮かべ、片手でロングソードを握っている。


「折れたな」


 ウォルムが言葉を発すると眉を下げ、酷く困惑した様子だ。


 スキルを喰らうのは初めてらしい。怯えた様にウォルムから後退するが、足場の悪い森では悪手だ。少女は距離を取るために後ずさりするが、地面に倒れていた“兵士だったもの″を踏み、体勢が崩れた。


「自分が殺した奴の場所くらい覚えてやれ」


 思わずウォルムが苦笑すると、少女は目を見開きまるで化け物に遭遇した様に叫んだ。


「う、ぁああああああ!!」


 飛び込んだウォルムはロングソードを斧槍で絡め取り、弾き飛ばす。ウォルムが体格差を利用して肩から体当たりをすると、空気を吐き出し、地面へと倒れ込んだ。


 倒れた少女の喉を目掛けて、斧槍を突き入れる。相手は少女だ。頭や顔を潰されるよりはいいだろう。


 視界の端で何かがチラつき、ウォルムの心臓が跳ね上がった。周囲には気を張っていたが、あまりに速い。


「っ、う――!?」


 首を傾けながら後ろに飛ぶ、ウォルムの髪の一部を持っていかれ、頬が裂けた。影はそれでも迫ってくる。ウォルムは斧槍を振り下ろすと、相手も受けた。


 男は冒険者のパーティーの一人だった。鍔迫り合いの離れ際に、手首目掛けて刀身を擦るが、上手く鍔で防がれた。


「俺なんか相手にしてていいのか」


 わざとらしくウォルムが訊ねると青年は激怒した。精神的な揺さぶりもそうだが、青年が抜けた分、分隊を相手取る者が減っている。


「黙れ、侵略者が!!」


 端正な顔つき、肩まで伸びた青髪、頭髪と同じ色の瞳、世が世ならアイドルも顔負けの青年がそこに居た。実用的な装備に血で染まったツーハンドソード、周囲にはハイセルク兵が斬り捨てられている。


 冒険者達のリーダー格に間違いなかった。ウォルムは分隊長の相手にこそ相応しいと思うのだが、分隊長は大盾を持った冒険者と交戦中だった。


 恐らくアレがスキル持ちの盾使いだろう。《強撃》と《鉄壁》がスキル同士で衝突を果たし、周囲は手出しをこまねいている。ウォルムが周囲の兵でも助力するか悩む。


 厄介な事になったとウォルムはボヤいた。どうあってもこの冒険者を相手取らなくてはいけなかったからだ。

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