平田優奈 (3)

「マズい‼ 散れ‼」

 妬陰帝龍ツインテールのリーダーがそう指示を出す。

 乱戦になれば銃が武器の妬陰帝龍ツインテールは不利になる。味方を誤射しかねない状況で銃を使う馬鹿は居ない。

 下っ端達は銃撃をしながら散開しようとするが……。

 あたしは、体を倒して銃弾を避け、サッカーのスライディング・タックルの要領で、妬陰帝龍ツインテールのメンバーの1人の足に蹴りを入れる。

 もちろん、蹴りと同時に「霊力」を叩き込む。

 物理的な威力より、霊力の効果で、そいつは体……少なくとも足に変調を来たし倒れ込む。

 どう見ても受け身も取れてない倒れ方だったので、ただでは済まないだろうけど……気にしてる暇は無い。

 続いて、地面スレスレの廻し蹴り。

 近くに居た2人を、ほぼ同時に倒す。

「フンっ‼」

 立ち上りながら、額に生えている「霊力の角」を更に伸ばす。

「うわああああ……」

 「霊力の角」は、妬陰帝龍ツインテールのリーダーに突き刺さり……どうやら、多少の「霊感」は有るらしい、そいつは悲鳴を上げ……。

 だが、そいつの強化服パワードスーツに奇妙な文様が浮かび上がる。

 いわゆる「神代文字」の1つ「カタカムナ文字」に似た文様だ……。

 どうやら、自分の強化服パワードスーツにだけは「防御魔法」をかけていたようだ。

 何故、後世……それも第2次大戦後の……の捏造とされてるインチキな「古代文字」に魔法的な効果が有るのか不明だが……魔法とは、そう云うモノだから仕方ない。

 どうやら、あたしのような先天的魔法使い≒超能力者や……実在すると言われているがあたしは見た事が無い「魔法に似て非なる魔法を超えた『神の力』」を除いて、「魔法」は「術者が何かのシンボルや教義ドグマを『効果が有る』『意味が有る』と信じる」事で効力を上げられるが、それらがインチキか本当に意味が有るモノかは……あまり重要では無いらしい。

 ともかく、あたしの「霊力の角」と妬陰帝龍ツインテールのリーダーの防御魔法は、しばらくの間、拮抗を続け……。

「あっ……」

 妬陰帝龍ツインテールのリーダーが、ようやく「そもそも、防御魔法は強化服パワードスーツにかけられているので、防御魔法の効果を受けながら別の事が出来る」と云う事に気付いたらしい。

 要は、ヤツはあたし目掛けて銃口を向け……。

 次の瞬間、何とも気味の悪い「体の大部分が人間のモノに見えない事もない頭。その頭の大半がバカデカい口」と云うように見える謎の霊体が、どこからともなく飛んで来て、妬陰帝龍ツインテールのリーダーの防御魔法を噛み砕いた。

 いや……霊体なので、あたしにそう見えただけで……何者かの「使い魔」が妬陰帝龍ツインテールのリーダーの防御魔法を打ち破っただけだろうが……。

 だが……次の瞬間……。

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