☆7R》運命の出会い

 いつの間にかホワイトサーベルタイガーは、四方八方に移動し周りを囲み、更にリッツを追い込んでいた。


 リッツはブルブルと身体を震わせながら、どうこの場を回避するか思考を巡らせ。


(どうしよう……このままじゃ)


 そう思っていると、ホワイトサーベルタイガーの群れは雄たけびを上げ、一斉にリッツに飛び掛かった。


(うわ~考えてる余裕がない!!)


 そう言いリッツは咄嗟に、


 《フレイムウォール!!》


 そう呪文を唱えると、炎の壁がリッツの身体を覆い、ホワイトサーベルタイガーの群れが体当たりするも、次々と弾き飛ばした。


 だが、ホワイトサーベルタイガーは、たいしたダメージを負っておらず、更に脅威的なほどの殺気を放ち怒り狂っている。


(ちょっ!怒ってる……って、当然だよなぁ。でもこのままじゃ、そのうち魔法も解けちゃうだろうし)


 そうリッツは考えビクビクしながら、目の前にいるホワイトサーベルタイガーに視線を向けた。


 それと同時にホワイトサーベルタイガーの群れが大きな口を開けると、無数の凍てつくような蒼白い氷の粒を一斉に放った。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ~!?まだ死にたくない!誰かぁぁぁぁ助けてぇ~」


 リッツはあまりの怖さに泣き叫んだ。


 ホワイトサーベルタイガーが放った凍てつくような蒼白い氷の粒はリッツの近くまで来ている。


(ああ。僕はここで死ぬのか……)


 その時、何処からともなく青き龍の斬魔が放たれ、鞭のようにしなり円を描きながら次々と氷の粒を砕くと同時に、ホワイトサーベルタイガーの群れを倒していった。


 一瞬なにが起きたのか分からず呆然としていると、1人の男、いやタツキが、リッツの目の前に立ち見下ろしていた。


「おい、大丈夫か?」


 そうタツキに言われリッツはハッと我に返り、


「あっ、ありがとうございます。えっと、凄いですね。ホワイトサーベルタイガーの群れを、あっという間に倒しちゃうなんて」


「ん?ああ。それより、こんな所で何をしてたんだ?」


 タツキにそう言われリッツは一瞬、言葉に詰まったが、


「……辺境の地がどんな所なのか見て歩いてました。ですが、家に帰ろうとした矢先、ホワイトサーベルタイガーの群れと遭遇してしまい」


「そうか。そうなると、家まで帰るのに1人で大丈夫なのか?」


 そう言われリッツは一瞬、不安な表情を見せたが、大丈夫と自分に言い聞かせタツキを見た。


「はい。少しですが、アイテムもまだ残ってますので」


「それならいいが。無理はするなよ!」


 そうタツキに言われ、リッツの胸がギュッと締め付けられドクン、ドクンと脈が早く波打ち始め、顔が赤くなった。


(えっ!?これってどういう事?でも、この人は男だし……だけど、この感情は紛れもなく。このままここにいたら……この気持ちが)


 タツキはリッツの表情が変わった事に気づき、


「おい!急にどうしたんだ。具合でも悪いのか?」


「あっ!いえ、大丈夫です。心配してくれて、ありがとうございます。暗くならない内に辺境の地を出たいので、僕はそろそろ行きます」


「そっか。じゃ、気をつけてな!」


 タツキはそう言い右手を上げ軽く振った。


 それを見るとリッツは軽く頭を下げ、その場を後にした。


「本当にアイツ大丈夫か?そういえば、名前聞いてなかったな。……まあいいか!」


 その後タツキは、倒したホワイトサーベルタイガーを解体しその場で調理すると、保存食としてバッグに入れた。


(まさか。最初の保存食がホワイトサーベルタイガーの肉って……。まあ、前はコイツじゃなかったが。散々、飽きるほど食ったなぁ……)


 そしてタツキは片付け終えると、更にオパール城へと歩き出した。

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