第17話 幕間 目覚める破滅の象徴黒月姫



 .....





 (...ユウ遅いな、まだかな?)




 「.ん...ろう...?」


 何か聞こえる?だけど何も見えないけど?

 あれ?さっきまで...?


 「本当に...違...か?」


 何だろう?喧嘩してる...?


 「もし違ったんなら俺がコイツをっちまうぞ?」


 っちまう?何を?もしかして、に?...えっ?近付いてくる!?



 誰かが少しずつ近付いてくる気配がする。



 (私に何をするの?嫌だ...やだ、やだ、やだ、やだッ!

 来ないで...私に近づかないで...だから...もう...)





『私にッ‼』 「ッグゥェッ!?」





 はぁ、はぁ、はぁ...

(あれ?私何て言ったの?あれ?)


 どこかで何か大きな音がした気がする。

 それより今は周りがよく見える。冷たい空気を感じるけど、ここは、どこ?

 暗いけど、大きな部屋にいるみたい。


 私はこんな場所知らない。

 私はなんでソファに座ってるの?

 私はなんでこんな場所にいるの?


(さっきまでにいた筈なのに、どうして?)


 私は混乱しながらも周囲を確認していた。そこに...


 「先ほどはご無礼を。王をお呼びしますのでどうぞそのまま」


 暗い部屋の奥から突如男が現れた。

 執事服っぽいのを着た胡散臭そうな男が礼をして去っていく。



 その男を目で追っていくと部屋の奥の方で何かが倒れているけど、よく見えない。

 私の周りの地面が何故か隆起しているのと何か関係が?


 何が何だかよく分からない。


 私は逃げようと思ったんだけど、身体が動かない。

 私は誘拐されたの?

 なんだかここは嫌な感じがする。



 「優、助けてよ...」



 私の小さな声じゃ誰にも届かないのは知っている。

 だけど困ったとき助けてくれるのはいつも優。

 それはささやかながら切実な願い。



 しかし願いだということは誰にも分からなかった。

 



 ガチャっ。




 音がした方を見ると誰かが部屋に入ってきたようだ。暗くて見えない。


 近付いてきて徐々に姿が分かる。

 そしてこの人は危険だと本能が伝える。

 

 この人は私を見て訝しんでいる。


 「あの頃よりはなったのか?しかしあのは感じぬな。どれ...」


 この人が手を伸ばしてくるけど私は動けない。

 この人の手に私の頭は鷲掴みにされる。

 この人の手から何かが流れてくる。


 が私の身体を蝕む感覚を感じる。



 「あッ、嫌ッ、止めてッ‼アッ...ッ嫌アァァァァァッッッ‼」





 ...ッ‼



 ...。



 ......クフッ。




 この場に月城 希という少女はいなくなった。

 代わりに狂気に満ちた少女が笑っている。



 「そうだ、だ。...。久しいなッッ‼」



 男はかつての戦乱を思い出し、を叫んだ。



 「思い出せ、狂い咲け、破滅の象徴黒月姫クロツキよッッ‼ハッハッハッハッ‼」

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