第218話 きれいな会釈 👓



 空きの巣症候群はとっくに抜け出したつもりなのに、じつはそうでないことを一番知っているのは、ほかならぬ自分自身で、恒常的な寂寥をどうしようもなくて……。


 すべてご存知の心療内科の主治医から「いいですね、子どもが成人したら、親から積極的に連絡を取るのはご法度ですよ。日ごろは静かに遠くから見守っていて、助けを求められたときだけ行動すること。それが大事ですよ」と念押しされていて……。

 

      *

 

 それでも家にじっとしていられないとき、ぶらりと出かけたショッピングモールの通路ですれ違った同年代の女性の会釈があまりにも感じがよくて、こちらもつい笑顔になり、それからは1日中、幸福な気分でいられる……そんなこと、ありませんか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る