第76話 うぐいす 🐤




 駅……それも家の周囲にいくつもある小駅ではなく、多数の観光客(コロナ禍の最近は見かけませんが)でにぎわうメイン駅の、すぐ近くの森の高いところで、

 

 ――ホーホケキョ!

 

 よっ、うぐいすの優等生! と讃えたくなるような鳴き声がひびき渡りました。


 思わず足を止めましたが、滑舌のいい声ばかりで鳥のすがたは発見できず……。


 

                 🍃


 

 このあたり一帯は、かつて大地主が支配していたとかで、いまも名残の本棟造りの母屋が朽ちかけていて、その周囲を丈高い樹林が鬱蒼と取り囲んでいるのです。


 そんな人間界の栄枯盛衰には関係のない美しい声に、しばし、安らぎました。

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