第50話 卒業式 👦👧




 正午を少し過ぎたコンビニの棚にいくつかのフルーツサンドが並んでいました。

 そのうちのひとつは、ほかの仲間たちはいち早く売れた、真っ赤な大粒のイチゴサンドで、残りはいずれも地味な色合いの、ピーチ&キウイフルーツサンドです。

 

 

                 🍓🍑

 

 

 卒業式を終えた母と息子がやって来て、サンドイッチコーナーに近づきました。

 真新しい中学の制服を着た男子生徒は、少しためらってから手を伸ばしました。

 あら、それでいいの? と言う母親に、息子は照れくさそうに微笑んでいます。


 

                 👔                 



 その日、体育館での卒業式のあと、保護者とともに最後の教室へもどった生徒のひとりひとりについて、担任の先生がその子の美点を発表してくださったのです。

 

 ――きみはいつも、身体の弱い子や困っている子の味方になってくれたね。

 

 心の籠もった讃辞が男子生徒をこのうえなく晴やかな気持ちにしてくれました。

 地味で目立たなくても、先生はちゃあんとぼくのことを見ていてくれた。(^^♪


 最後の最後に大きなプレゼントをくださった。ぼくもそういう大人になりたい。

 その思いが、イチゴ好きな男子生徒に、あえて地味なサンドを選ばせたのです。



                 🌸



 さあ、4月から希望あふれる中学生ですよ!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

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