第3話 入学式
入学式が行われる体育館に沢山の生徒が集まっている。外から見た近未来的な建物2つは体育館だったようで、その内の1つの第1体育館の2階に集合となっている。
「あ、あ・・・・・・マイクテスト、マイクテスト」
俺が周りを見回してると聞いた事のある声がマイク越しに聞こえてくる。
「こんにちは校長の風間 真美です。新入生の皆さんまずはこの学校に入学してくれてありがとうございます。これからこの学校での色々な事を学び、3年後日本を守れる人間になれるよう頑張って下さい」
入学式が始まりマイクテストを終えた風間校長がステージの上で話し始める。
ていうかいきなり校長が話すんだな、普通こういうのって開式の言葉とかあるんじゃないのかなぁ。
「新入生の皆さんは分からない事だらけでしょうから、この学校について説明していきますね。まずこの学校は警察官や自衛官を養成する学校です。そして軍校卒業後は警察や自衛隊の中でも特殊部隊なんかに入ってもらう事になります。つまりこの学校に入学するという事は最低でも3年後には命のやり取りをする事になります」
校長のその言葉に周りの新入生達の顔が強張る。
かくいう俺も戦場に出るのは流石に怖い、だがそれも覚悟の上でこの軍校に来た。それより俺は風間校長が言った「最低でも3年」というのが気になる、それはつまり学生の内に戦場に出る可能性があるという事だろうか。
俺がそんな風に思考していると再び風間校長が口を開く。
「まぁ今そんな事を言われても不安なだけでしょう。だからこそ軍校で力をつけて欲しいんです。日本の未来は貴方達にかかっています」
周りの新入生達を見ると明らかに表情が変わっている。
上手いな、新入生を一度不安にさせてから持ち上げる事でモチベーションを上げた。流石は校長と言ったところか。
「じゃあまず授業の説明からしていきますね。この学校では英語と外国語、科学、軍事的授業、魔術学と武器の基礎、基本的な格闘術について教えます。因みに英語と外国語と科学以外は基本的に担任の先生が教えます」
(うっ・・英語と外国語とか俺マジで無理なんだけど)
『授業で寝ちゃダメですよ』
「分かってるよ。寝ないようにする・・・・・・極力は』
『それ絶対寝るやつですよね』
ルナが呆れたようにそう言う、何故バレたし。
「では次に兵科訓練について説明しますね。ぶっちゃけて言うとこの学校で勉強はあまり必要ありません。なので授業は1日4時間なのに対して、訓練はその2倍近い7時間もあります」
(うげ・・7時間はやばいな。勉強しなくて良いのは助かるけど)
『別にしなくて良い訳ではないと思いますよ』
ルナが俺の思考を読んで念話を送ってくる。考えている事にツッコミ入れないでくれよ。
「兵科訓練では専門的な訓練を受けてもらいます。授業では教えない専門的な事を、1人1人専門的な学科を選んで訓練をします。白兵科、射撃科、狙撃科、魔術科、暗殺科、医療科、技術科がありみんなにはこの中から3つまで入ってもらいます」
学科って言われてもよく分からないなぁ、でも魔術ってなんかカッコいいな。
『やめたほうが良いと思いますよ。相真君の魔力量じゃ3年間血の滲むようような努力をしても、並以下の魔術師にもなれません』
『・・・ならやめとく。大人しく白兵科にしとこ』
『それが良いと思いますよ。能力も活かせますし』
「最後に生徒ランクについて説明しますね。生徒ランクとは、その生徒ご学年でどのくらいのレベルにいるかを表す為の制度で、S〜Dまでに分かれています。では今からスカウトの評価上位10%の生徒ランクA以上の生徒には代表で生徒ランクを表すバッジを受け取ってもらいます」
『遂に来たか、全校生徒の前で名前を呼ばれるなんて経験は初めてだし緊張するなぁ』
『シャキッとしてください相真君』
「生徒ランクS 次席 黒木 相真君」
「はい!」
ルナと喋っていると遂に俺の名前が呼ばれる、俺が立ち上がると周囲から「おお〜」という声が聞こえてくる。というか次席なんて初耳なんだけど。
(そんな風に反応されると余計に緊張するんだけど)
『それだけ相真君が凄いって事ですよ』
『そういうものか?』
俺は緊張しながら風間校長の前まで歩いて行く。
「ここでの君の成長を祈っていますよ」
風間校長はそう言って、"S"と書かれた黒く光るバッジを俺の胸の辺りに付けてくれる。
『ああ、凄え緊張した』
『うん、結構かっこよかったですよ』
俺が苦笑しながら自分の席に戻る。今の一瞬でめちゃくちゃ疲れたな。
「以上15名が成績上位10%の生徒です」
全員の名前を呼び終えた風間校長は再び口を開く。
「ですが、さっき呼んだ15名はスカウトが決めたもので暫定でしかありません。実際の成績は7月の前期総合テストで決めます。だから全員上位を目指して下さいね。そして3年後には、日本を守れる人間になって下さい。説明は以上です」
風間校長の話が終わると解散となり周りの生徒達が教室に帰って行く。
(テストもあるのか。こりゃあ大変だな)
『頑張りましょうね相真君』
『ああ、そうだな』
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