僕の彼女はメイドで俺の娘で嫁で母

あいざわゆう

第1話 プロローグ


 ……気がつくと、狭い車の中がさらに狭くなっていた。

 少し離れたところまであったドアやダッシュボードが目の前に迫っている。

 というかそれらに腕や足が挟まれているのだ。

 しかし感覚はなかった。もうちぎれているのかもしれない。

 体から血の気が引いていくのを感じる。どこかから大量に出血しているらしい。

 ……これは急いでアレを始めないと。

 ……作業開始。

 同時に、ピッ、という音が脳内で鳴り、ウィンドウが開く。そこには見慣れた少女の姿があった。

「お父様」

「大丈夫だ。例のものはもう稼働している」

「では、しばらく休まれるのですね」

「そうだ。回復したら会おう」

「わかりました。お父様。また会えるのを楽しみにしております。あ……」

「……」

 ……。


 

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