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 ずっと憧れてたの。学校に行くのは、先生に会うため。苦手な英語だって優しく教えてくれた。成績が伸びたら、一緒に喜んでくれた。部活の大会にだって応援しに来てくれた。


 周りの生徒からも人気で、他の先生達からの評判も良くて。それなのに、こんな私に構ってくれたのが本当に嬉しくて。


 可愛らしいお子さんもいて、綺麗な奥さんもいて。それが本当に悔しくて。


 友達にもね、言われたよ。叶わないって。そんなんいわゆる禁断の恋ってやつでしょって。馬鹿にされてたことも分かってる。こんな未成年、先生が相手にしてくれるわけないって。でも、いいでしょ。生徒の立場を楽しむくらい。


「卒業、おめでとう。」


 人生で、1番嬉しくて1番寂しい最初で最後の言葉。先生はきっと、私の事なんてすぐ忘れちゃうんだろうけど。私は、一生忘れない。


 その大きな手に触れて貰えなかったことも。先生の笑顔が、誰よりも眩しかったことも。


 私は今日、学校せんせいを卒業する。

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