第5話 魔獣ナイトメア
「ふむ、あれは、ナイトメアじゃよ、精神魔法を使う厄介な魔獣よ、ふっふ」
魔獣ナイトメア、その漆黒の馬体にメラメラと燃えるように、赤い鬣と尻尾の毛が揺れていて、目も赤くてカッコイイ。
「囲め!こいつの鬣は高くで売れるから必ず仕留めるぞ!」
「おう!」
そう言って斬りかかる冒険者達をナイトメアは、素早く躱す。
すると、目が光り冒険者は苦しみだす。
「くそ!精神魔法だ!」
そう言って斬りかかるが、先ず一人ナイトメアの前足で強烈に地面に叩きつけられた。
グヒヒン…
他の冒険者も頭を押さえながら、斬りかかるがその素早さを追えずにあっさり負けてしまった。
「ふむ、良い練習台になりそうじゃな。ついでに、お主呪術札を貰っておったであろう?アヤツを平伏せて使い魔にしたらどうじゃ?ふー」
「いやいや…ちゃんと装備している冒険者が3人がかりであっさり負けたじゃないか?無理無理…」
「ふむ、精神攻撃は我が結界で打ち消してやろう、地球人のお主なら勝てるかも知れんぞ、ふっふ」
「いや、無理だって、俺、剣とかもまともに振ったこともないのにさ」
ガサ!
クインが立ち上がり音を立てた。
「え‥おい」
グヒヒン。
ナイトメアはこっちに気付いた。
ナイトメアの目が光る。
精神魔法を展開しているのだろうが、クインがそれを打ち消しているようだ。
「ふん、こんな小童、精神攻撃を封じれば大した事ないわ、アラタほら行け、ふっふ」
「ええいー、もうこうなったら、やってやる」
アラタは勢いよく飛び出し、ナイトメアへ斬りかかる。
ひょいと避けられる。
振り返ると、火魔法のファイヤーボールを飛ばして来た。
「え…ちょっと、そんなの聞いてない、精神魔法だけじゃないの?」
でも、新は、素早いはずのナイトメアに自分の身体がついていけるのがわかる。
「お、意外と、俺やれるんじゃないか?」
新は、ファイヤーボールやウインドカッターなど覚えたての魔法を織り交ぜ、剣も振るって戦う。
激闘の末、ナイトメアを平伏すことが出来たのだった。
「はあ…はあ…やったぞ…はあ…」
ブヒヒン…
よろめいてそこに座り込んだナイトメアに近づいた。
ナイトメアも死を覚悟したようだった。
「ふむ、呪術札を張り魔力を通すのだ、ふっふ」
「はあ…なるほど…」
呪術札をナイトメアに張り、魔力を通すとナイトメアの意識が伝わって来た。
俺の物になるか?と念じると。
ナイトメアは頷いたように首を縦に振った。
呪術札はナイトメアに吸収され消えた。
契約は成功したようだった。
その途端、空間が歪み異次元へ入って行った。
「え?空間に行っちゃったよ?」
「うむ、契約は成功だな、呼び出すときはナイトメアを意識して呼べばでてくるのだ、だが、忘れるな、使い魔と言えど死ぬと言う事を」
「あのさ、クインは従魔だよね?使い魔とどう違うのさ?」
「ふむ、従魔とは我みたいな知能が高い者との契約の事を言うのだ、使い魔とは魔獣や魔物、妖精や妖獣とは格が違うのだ、ふっふー」
詳しくクインがいろいろ話してくれた、使い魔は呪術の力で異次元空間へ住むことが出来るようになるらしい。
しかも、その異次元では治癒も施されると言うのだから驚きだ。
魔獣ナイトメアを意識を集中して呼んだ。
すると、空間が歪んでぬっと、漆黒の馬体が出てきた。
「おお、これは凄い!」
ブルルン。
「跨ってもいいかい?」
ブルル。
ひょいと、新は、ナイトメアに跨る。
そして…
「我が人生に一遍の悔いもなし!」
ずびし!っと天を指差すのだった。
「ふむ、お主何をしておるのだ‥ふっ」
「い…いや、ちょっとやって見たくてさ、ははは…」
ナイトメアから飛び降りて、その馬体を摩る。
「名前決めないとな‥そうだな‥
ブルルン。
気に入ったようだ。
まだ戦いの疲れが取れてないさそうだったので、異次元に帰してやった。
「さて、疲れたし一度町へ戻ろうよ」
「ふむ」
新とクインは、ホルンの町へ戻った。
門を潜ると、リックとリーナがいた。
「あ!アラタ兄ちゃん!」
「お、リックとリーナじゃないか?」
「このもふもふ気持ちいい~」
リーナが、クインに抱き着いていた。
「ふっふー」
「リック達は何してるんだ?」
「今、父ちゃんからの手伝いで、門兵さんに砥石の配達だよ!」
「なるほど、そっか、あ!そうだ、チョコレート食べるか?」
「ちょこ?何それ?」
あれ?あ、そうか‥異世界にはないか…
マジックボックスからチョコを出すと。
!?
「アラタ兄ちゃん、マジックボックス持ちなの!?」
「あ、ああ、そうだよ」
「すげーじゃん」
やはり、マジックボックスって凄いんだ?
マジックボックスから出したのは、たけのこの里だ。
俺は、きのこの山も好きだが、たけのこ派だ。
「なんだこれ?黒いよ‥食えるの?」
「でも、リック兄ちゃん、凄く良い匂いがするよ」
二人ともクンクン匂いを嗅いでいる。
一口ぱくっと食べると、目を見開いてほっぺを抑えた。
「あま~い…」
「こんなの食べたことない…」
二人とも味わって食べているのか、1個をまだ口の中に含んでいた。
ゴクリ!
「美味しい!もっと頂戴!」
「ああ、まだあるからリックの家に向かいながら食べよっか?」
「「うん!」」
二人と一緒に、カゼルさんの店に辿り着いた。
「父ちゃん!ちょこってのすっごい美味しいんだよ!」
「ん?リーナ、なんだい?ちょこ?」
リーナはそう言って、カゼルさんにドヤ顔でそう言っていた。
「あ、アラタさん。またこの子達が何かしましたか?」
「いえいえ、そこで会っただけですよ」
「もっと頂戴、ちょこ!」
リーナがそう言って俺の所に戻って来た。
「これはね、美味しいけど沢山食べると、歯がなくなちゃうんだよ?」
「ひゃ!?じゃいらない」
二人は、そう言って2階の住まいの方に上って行った。
「カゼルさん、宿ってありませんか?」
「ああ、うちの妻のミーナが手伝っている宿があるよ?白鷲亭ってとこだが、まだ仕事中だから行ってみると良い」
ミーナさんが手伝いをしているという、宿の場所を聞いてそこへ向かった。
すぐに宿は見つかった【白鷲亭】と木札に書いてある。
「あら?あなたは昨日の…」
「はい、新と申します。カゼルさんにここの場所を聞いて来ました」
「あらそう、アラタさんでしたね、宿なら開いてますわ、一泊でいいの?」
「はい、それで良いです」
「一泊は銀貨1枚ね、食事付きなら2枚だけどどうする?」
「食事は大丈夫です」
宿代銀貨1枚を支払った。
「私はもう仕事終わりなので帰りますけど、後はここの店主が対応してくれると思うわ」
「はい、有難うございました」
ミーナさんはそう言って、エプロンを外して帰って行った。
俺は、鍵に書いてある部屋へ向かうが、クインは透明になりついて来ているようだった。
部屋に入ると、ベッド、小さなテーブルと椅子が置いてあるシンプルな部屋だった。
今日はここに泊まって異世界を堪能しようと思っていた。
そう言えば、この世界に風呂っていうのは基本、湯浴びと言って、温かい湯がでる魔道具で溜めた水を湯浴びするだけの部屋が存在するだけだ。
つまり、シャワー室のようなもんだ。
そして、トイレ。
このトイレは、地球の大昔とは違って、なんと水洗だった、ちゃんと大をした後に魔道具に魔力を通すと水が出てちゃんと下水に流れていく仕組みになっていたのだ。
自分のお尻をどうするかと言うと、最初に習う水魔法で洗って魔物の薄く柔らかい皮で拭くという‥しかもこれは人工物ではなく魔物の皮なので、流してもちゃんと微生物が海で分解するという仕組みだった。
なるほど‥と、この世界の環境問題を考えた新だった。
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後書き。
今から読み始める方へ。
現時点で80話行ってますが、1話からの「、。…」のセリフなどの修正を行っております、修正が間に合わずおかしいと思う部分があるとは思いますが、スルーしてお読みください…
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