第11話
言葉がきちんとした言葉になる前の
あの感じ
あのあたしの海のなかの水をすくって
言葉という
文字や記号を与える作業
あれがあたしにはどうしてもできないの
うまくいかなくて
どの言葉を選んでも
ぴんとこないし
選ばれなかった言葉の
浮かんでいるあたしの海のなかを
未練たらしく
いつまでも眺めて
ずうっとそこにいたくなるのよ
それは一体なぜで
なんという状態なのかしらね?
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