第82話 部活引退

「つばさー?」

「おー、おつかれ」


「翼がこの時間にいるの珍しいと思ったけど、そういや部活引退したんだったね」

「そうだよー」

「中学から6年間やってどうでしたか?」

「後悔はない」

「大学ではやるの?」

「いや、いいかな」

「いいの?」

「最初はさ、1回も勝てなくていっぱい練習して初めて勝ったのが嬉しくて続けたんだけどさ、」

「うん」

「1回勝ったら次はベスト16、次はベスト8、地区大会、県大会……ってどんどん勝てば勝つほど自分より積んできてる奴がまた上にいて……高校で死ぬほど練習したけど届かなくて、ここが限界かなってなっちゃった」

「体力の?」

「いや、なんつーか楽しいよりこれ以上は苦しいが勝った」

「後悔がないならいいんじゃない?」

「全力でやったって胸張って言えるからな。ちょっと休む」

「うん! ︎︎おつかれ!」


「今日は特別に私がカバンを持ってあげよう」

「さんきゅ」

「すっごい軽い」

「部活道具ないから……」

「翼? ︎︎これから部活ないからいっぱい勉強できるね」

「あー、運動してー……」


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