第54話 ヤンキー

「おっすー」

「はい、カバン」

「じゃんけんが先だろ」


じゃんかば


「私の勝ちね」

「なぜ勝てない……」

「気持ちの問題じゃない? もっと強い自分をイメージしましょ」

「あータバコ吸いてぇー」

「アウト」

「人殴りてぇ」

「やめなさい」

「喧嘩売って来たやつの歯抜いてプレゼントしてぇー」

「どういうこと?」

「なんかあんだよ。相手の前歯とか抜いて好きな子にプレゼントするっていう風習がよ」

「え、全然うれしくないけど」

「歯もらってもな」

「そもそも翼はそれをなんで知ってるの?」

「ヤンキーの友達が言ってた」

「そんな友達がいたのね」

「見た目こえーし、やることこえーし、ヤンキーだけど良い奴だぜ」

「よく怖くないわね」

「もっと怖い人が身近いるからね」

「翼、口開けて」

「嫌です」

「抵抗するなら奥歯抜くよ」

「花音はほらっ! 見た目は可愛いじゃん! だからヤンキーとか似合わねぇよ!」

「見た目『は』」

「え……あとは……すげー……すげーよ」

「翼、それ私以外の女の子に絶対言っちゃダメよ」

「……はい」

「じゃ、今度までに10個くらい褒めるとこ考えときなさい」

「うっす……」


花音のいいとこその1、強い


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る