第130話~最悪のクイズ~
「兄さんっ」
「水葉? なんでここにいるの?」
学校も終わり校門を出ると、外にランリュックに黄色帽子を背負った水葉がいた。時間割的に1時間ほど俺の方が遅いから、帰る時間が被ることは無いはずなんだけど……。
「いちゃダメなの?」
「ノープロブレム!」
別にどうでも良いや! どうせ放課後のグラウンドで鬼ごっこして遊んでたとかそんなもんだろ!
「あれ? 水葉ちゃんじゃん。久しぶり〜」
「こんにちは、翔馬お兄さん」
少し遅れて出てきた翔馬にも、水葉はペコリと頭を下げて挨拶をする。我ながら出来の良い妹だな〜。
「そ、空君、今日は一緒に帰りませ──、って水葉ちゃん?」
また少しすると
「む……! 兄さん、なんでこの人がここにいるんですか?」
「学校だから」
「そう言うことじゃないです!」
水葉が急に不機嫌になり、穂乃果を指刺してそんな質問をしてくる。なんでこの2人、小さい時から結構会ってるのに仲悪いんだろうな……?
「ともかく兄さん、久しぶりに一緒に帰りましょう!」
「良いよ〜」
グイッと腕を引っ張ってくる水葉からのお願いに僕は即答した。え? 妹からのお願いを断る兄なんて存在しないでしょ?
「ぁ……」
「あ〜……空、僕たちも久し振りに会ったんだし、水葉ちゃんと話したいことも色々あるし、4人で帰らない?」
すると翔馬がなんとも言えない顔でそう言ってくる。
「別に良いよ〜! 水葉も良いよね?」
「…………もちろん良いですよ」
今の微妙な間はなんだったんだ?
「ありがとう諸星君」
「どういたしまして」
穂乃果と翔馬が何かコソコソと話していた。ねぇ、2人ともそれって何のお礼? なんかあったの? よく分からないが、とりあえず4人で帰ることになった。
「水葉ちゃん、学校での空について知りたくない?」
「知りたいです!」
俺の隣で手を握りながら歩く水葉が、もう片方の手をあげてそう言ってくる。
「おいこら。変なこと言うなよ?」
「あれ? 空って学校で変なことしてるの?」
「いやしてないが……」
このメンツ上仕方がないが、話すことになるのは身内関連の話題だけだろう。その一番最初の餌食となったのは僕だ。
どんどん話題が出てくる。みんなが次々に僕のことについて言い合う。なんでみんなすごく詳しく覚えてるの?
……みんな僕のこと好きなの? わーい、ハーレムだ〜! ただし翔馬、てめぇはダメだ。あ、水葉も妹だからダメだ。
つまり穂乃果と普通に恋愛してるだけって事になるな! ……ただの雑談で1人だけこんだけ盛り上がれる僕って頭おかしいな。
「おい空、ちゃんと聞いてるか?」
「ん? あ、悪い」
「それじゃあもう一回言うぞ。空の性癖は一体どれでしょうクイズだ!」
なんだそれっ!? クイズの内容以前にお前が僕の性癖知ってるのっ? 僕としては特に無いんだけど……。
「1番、シスコ──」
「1番ですっ!」
翔馬が1番目の回答を言い終える前に水葉が勢いよく回答する。おいこらやめろっ!!!
「水葉ちゃん、残念だけど問題は最後まで聞こう。1番は正解だけど正解じゃ無いんだ」
翔馬が諭すように言う。なんだよ正解だけど正解じゃ無いって……。
「1番、シスコン! 2番、ロリコン! 3番、マザコン! さぁどれでしょう!」
「どれ選んでも地獄じゃねぇかっ!?」
「「分かりましたっ!」」
翔馬が挙げた選択肢に俺が文句を言っていると、水葉と穂乃果の2人が同時に手を挙げる。……2人とも、わかったんだ……!?
「「正解は全部です!!!」」
「正解!」
「殺してくれ〜〜〜ッッッ!!!」
もうやめてっ! 僕のライフはもうゼロよ! ……こんなんただの新たなイジメだろ……っ! それにシスコンはまぁ良いとして、ロリコンとマザコンは違うよ……違うよな?
「それじゃあまたなっ!」
「空君またねっ」
そのあとは翔馬と穂乃果と別れ、僕と水葉は少し歩いて家に着く。あいつ、次会ったら覚えとけよ……!
「兄さん……少しばかり、穂乃果お姉さんと距離が近くなかったんじゃないですか……?」
頬をぷく〜っと膨らませて水葉が言ってくる。そう言う水葉だが、現在は俺と腕を組んだ状態だ。つまり……お前が言うな!!!
「そうか?」
「そうです! 兄さんは格好いい……とは言いませんね。声変わりもまだですし、顔も子供っぽいです。ですがちょこっとモテるので、気をつけておいてください」
「了解……?」
水葉が忠告してくる。その総評はありがたく受け取るが、喜んで良い内容なのだろうか……? そう思いながら家の扉を開けた。
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夏休みで出来た大量の書き溜めによる余裕(受験勉強は?は禁句)と圧倒的なフォロー数の低下による余裕の無さによって、しばらく2日に一回更新に変更することにしました。
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