第16話 妹誕生

 あれから約5ヶ月、頑張ってきました。いや、まぁそんなに頑張ってはいなかったけど、ちょっと退屈だったね。

 基本的に家で出来ることしかしてないし、買い物とかは全部アレクスが仕事帰りに必要な物を買ってくるだけだったし、ルナ姉達やレーネ達が家に来たときにはおもてなしどころかこっちの仕事手伝ってもらってたし。


 なんかもう気苦労がすごかった。まだ8歳だよ?この歳でニキビできるかと思うくらい ストレスが溜まってた時もあったし。

 

 5ヶ月前までは気分転換で済んでたんだよ?だけど毎日毎日毎日毎日ずっと同じことしかしてないし、アレクスが何かあった時のためにって俺ほとんど付きっきりだったし、いや、グランツェが悪いって言ってるわけじゃないよ?

 だけども!だけども俺だって遊びたいわけじゃん?まだ8歳じゃん?ちょっとくらい外に出たいよ。


 そう考えたら前世で引きこもってる人ってすごいんだなって感じたわ。外に出たすぎて、俺ちょっとやばかったもん。状態耐性が高くなかったら鬱になるくらいにはやばかった。毎日ずっと動いてただけあって運動が恋しくなったよ。




 とまぁ、そんな生活も今日で終わり。のはず。何故って?ただいま出産中、、 


 でも、今更だけどこの世界って本当すごいよねー。なんで今更って思った?俺自身も思ったよ。だって、今出産中なんだけど全然痛そうじゃないんだよ。というか、常に痛みを和らげてる。


 どうやってって?それは、、、


「グレートヒール。」

「グレートヒール。」



 とまぁ、こんな感じでグランツェが自分に「上級回復魔法」を使ってるんだよ。

 この世界の出産ってめっちゃ安全なんだな。本当驚いた。

 

 というか、普通ってもっと頑張れだの耐えろだの励ましてするもんじゃないの?スゲーあっさりしてるよ?


 それから約5時間、、、生まれました。女の子です。おめでとうございます。超あっさりしてましたね。


「ねぇ、アレクス、ローラン。この子の名前はどうしようかしら?」

その聞き方はもう私考えてあるんだけどそれでいいかしら?あなた達、私以上の案出せる?みたいな意味を含んでそうだな。


 いやいや、そんなことはない。これは俺のストレス。ちゃんと処理しなければ、、、

 決まり次第、ストレス発散のために近くの山に中級魔法ぶっ放しに行こー。

 そう考えているとアレクスが自分の案を出した。


「俺はローナがいいな。ローランの妹だし、似てる名前って良くないか?」


アレクスよ。紛らわしい名前にすると後々名前呼んだときに、両方が反応するか両方無視するかみたいな状況が増えるぞ。呼ばれて返事して「お前じゃない」って言われんだぞ。俺は知ってるぞ。前世で何回そのやりとりをしたことか。


「アレクスのは却下ね。紛らわしいもの。」

 全くだ。


「じゃあグランはどうなんだ?」

待ってました!と言わんばかりの笑みを浮かべてグランツェは答えた。


「私はミカエルがいいと思うの。」

まさかの天使!それも大天使!なんならガブリエルにしようぜ!そっちの方がかっこいいじゃん!


 そのグランツェの案にアレクスは反論した。

「いいや、それはダメだ。そんな美男子みたいな名前よりローナの方が可愛げがあるぞ。少なくともこっちの方がかわいい。」


あれ〜?前まで元気な子がいいとか言ってたけど女の子って分かった途端、やっぱりかわいいがいいんじゃん。可愛い最強説!


 そんな事を考えているとグランツェが話をこっちに向けてきた。


「ローランは私の案がいいわよね?」

「いいや、俺のがいいだろ。ローラン?」


8歳の子に親の気持ちなんかわかるかよ。まぁ俺の案が1番マシな自信があるから出すことにしておこう。


「僕はガーベラがいいかな。」


そういうと二人は声を合わせて

「「ガーベラ?」」と言ってきた。

 まぁ知らんよね。


ここからは俺の前世で培った知識を活かす時!この世界にあるのかどうかは知らないけど。

そう思いながらも俺は説明を始めた。


「ガーベラっていうのは2月に咲く花の名前なんだ。(今2月ギリギリだけど2月だからセーフ)

ちなみにそのガーベラが持つ意味は希望とか前進って意味があるんだよ。そんなふうにみんなの希望として前進していくような心が強くてカッコいい女の子になって欲しいかな、、なんてね。」


 そう俺が言うとアレクスとグランツェがお互い顔を見合わせた後に俺の方に視線を向けてきた。


(あ、あれー。流石にくさすぎた?)


そう思っていたが、実際はそうではなかったみたいだった。


「いいじゃないかローラン。それだ!それにしよう。」

「そうね。いい響きだしその名前素敵だわ。」


喜んでもらえて何よりです。てか、よかったわー。二人とも黙ってこっち見てたから"お前のが1番ないわ"みたいに思えたよ。

そんなふうに杞憂していたがそんな心配は全然必要なかったらしい。


 その後、俺が誕生した時と同様にまた家族パーティが行われた。

 本当に賑やかな人達だ。そんな事を思いながらも俺も結構楽しんでいた。


 パーティが終わった後に、俺は寝る前にガーベラを鑑定してから寝ることにしておいた。


ステータス  lv.1 ガーベラ

体力   15+E

持久力  34+D

敏捷   18+E

耐久   7+なし

魔力   71+C

状態耐性 32+D

知能   34+D


スキル「魔力の循環B」「下級魔法」「中級回復魔法」


「魔力の循環」…魔力切れ寸前に一定量の魔力を回復する。E.10%D.20%、、A.50%、S.50%+一定期間能力値上昇


 

 、、、本当に、転生特典がなかったら嫌気がさしてたね。

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