第26話
「冬休み、終わっちゃうね~」
小春はリビングのソファーに座り、天井を見つめながら寂しそうに言った。
リビングに設置されている時計を見ると、既に夜の八時。
あと四時間が経てば冬休みは終わってしまう。休みが終わってしまうのはやはり寂しい。
今までで一番短いと感じた冬休み。
「本当にあっという間だね」
「明日からまた学校だよ? 友達に会えるのは嬉しいけど、悠斗くんと話す時間が少なくなっちゃうのは寂しいな」
俺と小春が付き合っていることは学校では内緒にしているため、極力話さないようにしている。
隣の席だから多少の会話はしているが、本当に少しの会話しかしていない。
その日が来るとは思えないが、小春に見合う彼氏になって、堂々と小春が彼女だということを言えるようになりたいな。
「でもすぐ春休みが来るよ」
「そしたら私達二年生になるんだね」
「そうだね」
俺たちが今通っている高校を受験してもうすぐ一年が経つ。
俺が小春を初めて見たのはその時だ。それに、俺と小春は面接で一緒になった。俺の通う高校は四人同時に面接を行った。
「あ、そうだ」
俺は今日最寄りのコンビニに行ったときに、小春にあるものを買っていたのを思い出し、冷蔵庫へ向かった。
「どうしたの?」
「これ、小春と食べようと思って」
俺が小春と一緒に食べようと買っていたのは、コンビニのスイーツだ。
近くにケーキ屋はあるが、ケーキ屋よりもコンビニの方が近いし、味もケーキ屋に負けないくらい美味しいし種類があるのを知っている。
「わー! 美味しそうなスイーツ!」
小春は目を輝かせながらテーブルに置いたスイーツを眺める。
「でも、どうしてこんなに沢山?」
「どれも美味しそうだったから沢山買って来ちゃった」
テーブルの上にはティラミスにチョコクレープ。プリンにシュークリーム。イチゴ大福、ショートケーキが並んでいる。
こうしてみると、小春の言う通り買いすぎたと改めて思う。だってどれも二つずつあるから。
「毎日一つ食べても全部食べるのに六日かかるね。今日はどれ食べる?」
小春は「うーん」と悩みながら、最終的に「どれにしようかな」と指で順番に指を指して行き、決めた。
「じゃあ今日はこれ食べよ?」
小春が手に取ったのはティラミスだ。
「うん。食べようか」
俺はスプーンをキッチンへ取りに行った後、小春と向かい合って座った。
「悠斗くん、なんで私の隣に座ってくれないの? 隣の方が近くに居れるのに……」
「だってこっちの方が小春の顔が良く見れるじゃん」
隣だとわざわざ隣を向かないと小春の顔を見ることはできない。だけどこうして向かい合って座れば、顔を上げるだけで小春の顔を見れる。
「そ、そっか。それならこっちの方が良いね」
小春はそう言うと、スプーンでティラミスをすくって小さな口へ運んだ。
「美味しい?」
「うん! すごく美味しいよ!」
「良かった」
「悠斗くんって冬休みの一番の思い出は何?」
この冬休み、沢山の出来事があった。
昨日小春と行った猫カフェ。その他にも初詣に一緒に行ったり、俺が熱を出した時に看病をしてくれた。
どれも俺の大切な思い出だ。でも、やっぱり一番の思い出は、小春との初めてのクリスマスデートだろう。
「やっぱり小春との初めてのデートかな」
「悠斗くんも⁉ 私も一緒だよ!」
初めて見る綺麗なイルミネーションを初めての可愛い彼女と見れたのは一生の思い出であり宝物だ。
それに…………小春から初めてキスをしてもらった日、そして――――初めて俺から小春にキスをした日。
「来年も絶対に二人で見に行こうね! 約束だからね!」
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