夏薔薇の涙 

夏に咲いた薔薇が泣いている


木陰の黒が、花弁の鮮やかな赤に落とされて冷えていく


熱い陽の光から逃れるために


私もその木陰の黒に入れておくれ


夏を生きることに疲れた


哀れな私を


その紅い薔薇と共に死なせておくれ


薔薇の花弁から落ちようとしている


残った涙の雫が


私の手に落ちてくるのを


ただただ薄らいだ瞳で見つめ


指先でそっと掬ったものを


唇に塗った


夏が終わろうとする夜のこと

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