泉に手をひたして 

あなたが旅立った日の朝に、私は泉に足を運んだの


冷たい空気に息が白く染まり、靴を履いていても爪先は凍えるようだった


草に霜が降りていてしゃりしゃりと音を奏でているのをじっと、じっと耳をすませる


泉は綺麗


朝の光に白く輝いてきらきらと、ただきらきらと


そのまま数時間その場所で過ごした


やがて水面は虹色に輝き、ゆっくりと凪いでいった


立ち上がり、一つ涙をこぼしてからまた来た道を引き返した


昼の私の顔は晴れやかだ

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