紫陽花と花嫁 

雫が青紫の咢に灯っている


薄い光を孕んで


爪の先にやどかり


影を照らしている


曇り空に花嫁


白無垢の後ろに狐が


たどたどしくも自信ありげに


竹藪には侍


鯉口に手を当て


今か今かと首を狙っている


通りゃんせ 通りゃんせ


ここはどこの細道じゃ


紫陽花寺の細道じゃ


偽の花で作られた


花束を花嫁にあげよう


仏の固い手から

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