第33話 要するにペット扱い
デザートのアイスクリームが運ばれてきたときに、誠は周りの女性上司を見守っていた。
カウラは普通にそれを受取ると静かにさじを動かす。
アメリアもまたその様子を一瞥した後、何事も無かったかのようにそれを口に運んだ。
「でもなあ……新前よ」
手つきは上品だが、かなめの口調は相変わらずぞんざいだった。
「少しは自分の話をした方が良いな……それがマナーと言うものだ」
カウラはそう言いながらエメラルドグリーンの瞳で誠を見つめた。
「僕ですか?僕は……」
誠は戸惑いながら三人をまねて不器用にさじを容器に向けた。
「誠ちゃんって……今、彼女いるの?」
突然のアメリアの問いに誠は思わず吹き出しかけた。
「いませんよ!僕は……その……胃腸が弱いんで……デートとか行くとすぐ吐くし……緊張すると……また吐くし……」
好奇の視線を浴びせてくるアメリアに耐えながら誠はなんとかアイスクリームを口に運んだ。
「その程度で付き合いをやめるような女なら付き合わない方が良いな……私なら耐えられる」
突如、カウラが自信をもってそう言ってのけた。
「本当?……まあ、確かに誠ちゃんが吐くたびにかたずけてるのカウラちゃんだもんね……もしかして変態?」
「違う!小隊長として、先輩として世話をしているんだ!」
アメリアの冷やかしにカウラが顔を朱に染めてそう抗議した。
「まあ……こいつはアタシの『ペット』だから。猫とかよく毛玉を吐くじゃん。そんな感じかな……」
かなめの言葉に誠はなんだか複雑な心境でアイスクリームのさじを口にくわえた。
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