魔法のもやしパウダー【エイルの挑戦状11】

【エイルの挑戦状11】ゾロ目記念!!エイルの本気〜もやしで一攫千金〜

 主催者:エイル 2023年7月2日 09:52 作成

 参加作品です(^^)



 〜〜〜


 ある日、私は、


 乾燥させた「もやし」を粉末状に粉砕するだけで、


 あり得ないほどに、旨味が増すことに気が付いた。


 そんな私の工場は、


 大手ふりかけメーカーの孫請けをしているような、小さな会社だ。


 従業員の数は十人にも満たず、


 親族で経営する小規模な会社と、ほとんど規模は変わらない。


 苦しいながらも、なんとか皆んなで頑張ってきたが、


 昨今の原材料費高騰のあおりを受け、


 とうとう、立ち行かなくなってきた。


 この危機を乗り切るためには、


 どうしても、我が社独自の目玉商品が必要となる。


 そうして試行錯誤を繰り返していた中で、


 先述の発見に至ったのだ。


 とりあえず、試作品を作ってみる。


 出来上がったのは、


 コーヒーに使う、スティックシュガーの様な製品。


 十本ほどの乾燥もやしを粉末に変え、


 袋に詰めただけのもの。


 従業員の皆んなで試食を繰り返し、


 このくらいの量で充分だと行き着いた。


 商品名を決める時も、


 先代の言葉である『製品には誠実であれ』をモットーに、


 嘘偽りなく、


【もやしを砕いただけで何故旨い⁉︎

 魔法のもやしパウダー】


 と、あるがままを名付けた。


 後は、商品の値段設定。


 正直、ほとんど手間は掛かっていない。


 乾燥させた「もやし」を、我が社の工場で粉末状にしているだけだ。


 とは言え、


 値段を安くしてしまうと、商品自体が安く見られてしまわないだろうか?


 商品の出来には、絶対の自信がある。


「100円で売ろう」


 私のひと声に、皆は力強く頷いた。


 駄目なら値段を下げれば良いだけだ。


 なんて日和った考えが同時に浮かんでいた事は、皆んなには内緒にしておこう。


 さあ、売り込みだ。


 懇意にしている地元のスーパーで試食会を開き、


 少しずつ、取扱店舗が増えてきた頃、


 興味本位で出願していた製品の特許に、認可がおりた。


 まあ、経費の足しにでもなれば良いかと考えていた矢先、


 魔法のもやしパウダーは、


 世界的な大ヒットを遂げた。


 作っても作っても、追いつかない。


 社員で持ち寄っていた自社株は、価格が恐ろしいほどに跳ね上がり、


 その上、特許の利用料までが上乗せされ、


 何が何だか訳がわからないうちに、


 世界の長者番付に、ランクインするまでになっていた。


 今まで苦労をかけた従業員たちには、


 目玉が飛び出るほどの、臨時ボーナスを渡せたし、


 来年の社員旅行には、


 皆んなで月旅行にでも行くか!


 なんてジョーダンに、花を咲かせている。




 おしまい

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