第15話 深淵


 喫茶店の二人掛けの席に対面で座ると、登記情報提供サービスにアクセスする。


 初めて使うがどうやら有料のようだ。


 カード情報を登録して、これで情報が引き出せるはずだ。


 目星を付けていた家の情報を一軒ずつ取得する。


 昭和53年から現在までの登記を見ていると、相続も発生しているが、当時のままの名前も2件ほどある。


 これは聞き込みの対象になるかもしれないとチェックしておいた。


 ただ、洋館の所在地がはっきりしないこともあるが魔女関係、もしくは夕凪という名前は見つからなかった。


 この方法ではだめなのか?そう思いながら最後の一件を調べてみた。


 そこは国庫所有となっていた。


 国庫に帰属したのは昭和54年。


 その後ずっと登記上は変動がない。


 ここが魔女の洋館だったことは間違いないようだ。


 パソコンのメモ帳を開いてそこにコピーする。


 その後マップでその住所を見てみる。


 どうやら中央線沿線ではなく京王線平川城址公園駅で降りるのが最寄りらしかった。


 航空写真で見るが、どうやら空地ではないらしい。


 ストリートビューで見ようとしたが、その洋館の部分だけ真っ黒になっていた。


 とにかく、目的地は決まったようだ。


 ルートも変更になり四谷から新宿まで出て、その後京王線に乗ることになった。


 『深淵を覗くとき、深淵もまたあなたを覗いている』だったかな、瞬の脳裏にそんな言葉がよぎった。


 魔女の方もこちらに気付いているのだろうか・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る