第13話 眠れぬ夜


 瞬は夜中に目が覚めた。


 横では一糸まとわぬ姿の凛が瞬の方を向いて、腕を体にまとわりつかせている。


 そっと、凛の手をどけてトイレに立った。


 戻ってきてからも、隣で寝ている凛を起こさないようにベッドの自分のスペースに戻る。


 寝ようと思ったが、なかなか寝付けない。


 魔女


 本当に存在するのだろうか。


 推論が全く見当違いな可能性は?


 ただ、明治時代の山梨県丹波川村の情報を調べていた瞬には日野で起こった事件の重要参考人夕凪しずかの特徴があまりにも共通しているように思えた。


 二つの事件の間には少なくても70年以上の歳月が流れている。


 それでも、外見は20代に見える。


 人ではない、もしくは人でなくなったものか。


 防衛省はなぜ魔女を追っているのか。


 不老不死の軍隊を作るつもりなのだろうか?


 いや、おそらくはそうではないだろう、なにか特殊任務を与えてそのミッションをこなせる人、そういう用途に使うつもりなのではないか?


 様々な思考が頭を巡る。


 考えると怖くもなる。


 凛がいなかったら耐えられただろうか。


 ふと、隣を見ると凛が無意識のうちに瞬を掴んでいる。


 凛も怖いんだよな、本当にごめん。


 全部終わったら、何でも好きなもの買ってやるから、美味しいものも食べに行こうだから必ず生き残ろう。


 そう考えて、凛と反対側の手に持っているホルダーに入ったナイフを強く握りしめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る