第2話 魔女
古い資料のコピー。
明治時代の地方紙らしい。
『呪い』『謎の失踪』『魔女』などという穏やかではない言葉が並んでいた。
「瞬、何を調べているの?」
「魔女の
集中力が切れてしまったからか資料から目を離して凛の顔を見て瞬はそう言った。
朝の7時、アラームの音が神木の部屋に鳴り響く。
瞬と凛はお互いの手足が相手の体を引き寄せるような恰好になっている。
「おはよ、瞬」
「ああ、おはよう」
瞬の手が凛の体を引き寄せる。
「だめだよお、遅刻しちゃうでしょ、ね、今日帰ってからたくさんしよ?」
「そっか」
瞬の物わかりの良さに凛は少しむっとしたがそれは顔には出さなかった。
6月の東京は蒸し暑い日と雨で涼しい日がある。
今日は蒸し暑い1日だった。
瞬はデニムジーンズに黒のロゴ入り長袖シャツ、凛は紺の長袖ブラウスに白のスカートといった服装に着替えた。
凛が合鍵を使ってマンションの鍵を閉めてくれる。
外に出た瞬間にむあっとした熱気に包まれる。
2人は1メートルほどの距離を取って西ケ原駅へ向けて歩き出す。
歩きながら凛は瞬に質問を投げかける。
「本当に魔女なんていると思っているの?」
「いる」
「ほんとに?でもさ、魔女なんて危ないんじゃないの?」
「うーん、どうかな・・・」
「瞬ってたまに暴走するっていうか、後先考えないような所あるからさ」
「え?そうかな?」
「そうです、しっかりしてよね、未来のだんなさまなんだから」
「はは、それもそうかな」
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