61話 ラクシュミの街で物資調達

 しばらく走ると…

 前方の行動の左端に、ワルキューレの白のパジェロがハザードを点灯して停車していた。

 ワタシは横で運転する赤鬼セントに、

「パジェロの隣で停まって」


「はい☆」


 パジェロの横にSMXは停車する。

 窓を開けて、パジェロの運転席のワルキューレに、


「止まってどうした?」


 ワルキューレは死臭を気を使ってか、助手席の窓を全開、こっちの窓を少し開けて、

「クソ女、ラクシュミの街の手前に、なんでもある商業施設『ION』がある そこで台風地獄5000キロに備えるために食料とか買い物しましょう、『ION』なら閻魔大王のブラックカードも使えるでしょ?」


「ガソリンの予備もたくさん必要だね?」


「そうね、それが一番重要ね」


 ワタシはワルキューレのパジェロと、SMXが牽引している荷車を見て、

「このSMXは5人乗ってるし、1番重要なガソリンはパジェロに積み込もう」


「了解」


「SMXの後ろの荷車には食料を乗せる。 デカい箱を買って食料を詰め込んで、箱と荷車をワイヤーで巻けば大嵐でも大丈夫でしょう」


「了解、じゃあ先に行って」


 ワタシ達のSMXは走る…


 左前方に『ION』が見えた。

 ワタシはセントに、

「地獄にもIONってあるんだね?」


「ガソリンスタンドにカー用品☆ 大型スーパーに服に☆ 映画館☆ ゲーセンに全て揃ってる☆」


「ほんとIONがあれば便利よね♪」


 セントが駐車場に入るためにウインカーを出す…


 車むちゃくちゃ多いな…停めれるか?


 ん?


 大型バスが3台??


 あれは!?


「セント! 直進!」


「え?☆ はい!☆」


 曲がろうとしたSMXは、直進。


「どうしたの?☆」


「駐車場にソフトクリームを持った卑弥呼メロンレディと剣道面ババアがいた… あいつら目立つから間違いない……ほら、白い三菱のバスに入った…ほかの赤いバスは…見たこと無いマークね…どこのメーカー? 中国??」


 サイドミラーに映った、後ろのパジェロのワルキューレも、「はっ」っという顔になった。 敵達イブたちの存在に気づいたようね… 後ろをついてくる。


「弱った… どこか他で物資を仕入れないと…」


「イブたちが買い物終わるまで待つのは?☆」


「せっかくだから、余裕かましてるイブより先に台風地獄に入りたいわね…」


 ワタシはセントを見て、

「ラクシュミの街に行こう」


「了解☆ 街に商店街がある☆ そこで燃料とか食料を仕入れよう☆」


「なら飛ばしなさい」


「了解☆」





 3分後…


 細い住宅街の道をくぐり抜けて…


「ココを曲がればラクシュミの商店街☆」


 SMXは曲がると…


「うっ…☆」


「おい…これ…」


 見える店舗? すべてにシャッターが…

「シャッター通り…?」

「ユキノ様☆ 誰も歩いていない…☆」


 ION効果の商店街を見ながら、

 ワタシは冷や汗を流し…


「とりあえず… どこか開いてないか通ってみよう…」


「うん…☆」


 セントはゆっくりと走らせる…

 サイドミラーから、後ろのパジェロの中でシャッター通りに驚くワルキューレの顔が見えた。


 すぐにセントが、


「ENEOSS(スタンド)があった☆」


「最低限はあったわね♪」


 給油所の前で車を停めると…

 カーテンを閉めた詰所に… 姿が見えない給油機…


「だめだねこりゃ…」


 商店街を通り過ぎた…

 開いてたのは3軒… 「文房具屋」と「時計屋」と「陶器屋」のみ…

 

 人もいないから… 仕方ない…


「セント? 戻って、文房具屋の前に停めて」


「なんで☆」


「店の人にガソリンスタンドがどっかにないか聞いてみる。 食料も」


「了解☆」


 文房具屋の前で停めて、店にワタシだけが扉を開けて入る。

 無人。

「すいませ~ん」


「はいはい」


 奥の住居スペースからオバちゃんが出てきた。


「あら? その格好? ココの人じゃないわね?」


「あの… ガソリンスタンドないですか?」


「この商店街をアッチに抜けると大きい公道に出ます。そこを右に曲がって、しばらく進むとありますよ」


「ありがとうございます… 食べ物売ってるところはありますか?」


「ガソリンスタンドの向かいがコンビニだから、そこで買うといいわ」


 良いオバサンで良かった♪

 せっかくだから何か買ってあげようか…


 うむうむ…


 よし…


 ワタシは大きな箱をつくるために…

 アクリルのクリアファイルに、下敷きを全てをオバサンの所に持って行き、粘着テープも置いてある全てを持って行き、

「これください」


「ありがとう」


 計算する…

 おそい…


「全部で5499円です」

 オバサンから、後ろを向いて文房具を見ていたワタシ…

 その時…

 棚の一番下の隅に、気になるモノが…


「あ? これ…コンパス(方位磁針)…?」


「そうですよ」


「これって文房具なんだ? じゃあ、これもください」


「全部で5999円です」


 ワタシは1万円を渡し、


「お釣りいいですから」


「え!? そういうわけには行きません…はい」


 4001円を渡された。

 

 袋を持ってから文房具屋を出て、SMX(クルマ)に乗り、

「真っすぐ出て、公道を右に回ってしばらく行けばスタンドがある、向かいにコンビニ、急げ」


「了解☆」


 セントは飛ばす。

 


 ガソリンスタンドが見えた…

 イブに抜かれないために急がないと…


 スタンドの手前でSMXを停めると、

 パジェロが横につき、窓を少し開けてきたワルキューレに、

「ワルキューレ、お前とりあえず車から出て、ココで待ってろ」


「うん」


 ワルキューレは出て、死臭が仲間に流れないため、ウチワをパタパタする。


 ワタシはガソリン価格1ℓ150円を見た後に、金を20万だしてセントに渡し、


「セントがパジェロに乗って、これでガソリンを1000リットル買え、ポリタンクも売ってもらって、それにガソリン入れて、パジェロに積み込め」


「分かった☆」


「急いでね」


 セントはパジェロに移り、ガソリンスタンドに入った。


 ワタシはSMXを運転し、向かいのコンビニの駐車場に停める。

 ずっと後ろで寝ていた青鬼ショウと白鬼リュウトに、


「おい! 起きろ!」


ショウ 「ふわ~」

リュウト 「なに?」


「ワタシは、今からコンビニで食料買うから…」


 『粘着テープ』と『アクリルのクリアファイル』と『下敷きを』を2人の間に置き、


「お前らは、これで、荷車に乗せる箱を作っておけ」


「うん」

「ういっす」


 ワタシはコンビニに入り…

 先ずは水…

 ペットボトルの水をたくさんカゴに入れる。

 

 酒も少し…買っておこうかな…

 箱の、面積取りたくないから、ブランデーを3本買う。

 あとは食料か…

 面積を取らずに、カロリーが高いのって…

 これね…

 カロリーメイトを全てカゴにいれる。

 板チョコも全て入れる。

 SMXの中にも少しは入れれるな…

 パンも全て入れる。

 弁当類も全て入れる…

 カゴが8つ満タンになったところで。

 レジに持って行き買う。


 ショウとリュウトが入って来て、


「できた」

「ういっす」


「これ持っていって詰めろ」


「うん」

「ういっす」


 下敷きの箱に食料と水を詰め込み、

 下敷きのフタを乗せ、

 粘着テープを伸ばし荷車に括り付ける。

 入りきれなかった一部の弁当類は、SMXの後部座席の、四つん這いの中年奴隷の隙間に入れる。

「できた、あとはセントね」


 すぐに、セントの乗ったパジェロがSMXの隣に来て、

「ガソリンゲットした☆」

 パジェロの助手席にまでぎっしりとポリタンクがある。


 これでよし。


 ワタシは、ボッチのワルキューレに手の平でカモンして、呼び。

 ワルキューレの分の水と弁当の入った袋を地面に置いた後に、SMXに乗り、


「ワルキューレはパジェロで先行しろ」


 ワルキューレは食料の入った袋を拾って、

「了解」

 パジェロの運転席に乗り、

「しっかし凄い量のガソリンね… まあ5000キロの道程だしね… じゃあ先に行くわ」

 

 ブッブー――――――


 ワタシはSMXのハンドルを握り、


「まだイブの三菱のバスはココを通ってない…出し抜けた…」


 台風地獄に向かうためにアクセルを踏み駐車場を出る。


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