九話 戦争の終わり

 九話 戦争の終わり

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 この戦争は、二か国の争いから四勢力のにらみ合いへと姿を変えた。


 最も強い力を持つのが、イリス王女を頂点に据えたベスタ公爵率いる勢力。

 次いで、旧隣国の反ベスタ派と新王国。

 半分搾りかすと化した王国が、最も勢力としては虚弱だ。


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「うまくやったわね。ベスタ伯爵……いえ、公爵とお呼びした方がいいかしら?」


「どちらでも好きなように及びください、王女殿下」


「あら、それはどっちに言っているのかしら」


「もちろん、イリス様です」


「……そう。人は生きているうちに幾度か選択の時が来る、あなたはそちらを選ぶのね?」


「ええ、もちろんです」


「馬鹿な人。なんだかんだ私と長いのに、気づいていないわけじゃないんでしょ?」


「魔女には貸しがありましてね」


「あら? とっくの昔に返してもらったと思うけど」


「さて、最近年なのか物忘れがひどくてね」


「そう。ベスタ、あなたイケメンね……私にはもうお相手がいるから、残念ね。こんな美少女とのチャンス、そうあるものではないわよ」


「いえいえ、イリス様は私の身に余りますので」


「それはどういう意味かしら?」


「はて、何の話でしたかな? もう忘れてしもうた」


「はぁ~、ま、大目に見てあげる」


「それで、予定日は?」


「ん~、周辺国に手を出されても面倒だし、準備出来次第すぐね」


「できるだけ迅速に準備いたします」


「あ、そうだ。形式だけだけど、本議会に限りベスタ公爵を全権代理者とします」


「はは!!」


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 今回の波、乗り切ったといっていいかな?

 私は、二つの国の女王になった。

 イリスは隣国の、ケレスは新王国のトップに立った。

 最後の仕上げだ。


「戦争は無意味だ。同じ種族同士で、なぜ命の奪い合いをしなければならない」


「我が国の女王も、争いを嫌悪しておいでだ。無意味に人を殺し続ける、その行為に疑問を持ったとおっしゃった」


「ここに、数十年続いてきた戦争の終結を宣言する」


「我が国にも異論はない」


「そして、ケレス・アルベードの名において、同盟を」


「イリス王女に代わり、全権代理者として、同盟を」


 これで終わりだ。

 あとは、適当に任せてケレスと……そう行きたいところだけど。

 もしここに来るようなら、それは……


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