七話 私の敵(+誰かの手記)
七話 私の敵 (+誰かの手記)
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「おい、ケレス嬢いったい何を……」
「あら、王子様。何をそんな声を荒げているのです?」
せっかくストレス発散をしていたのに、見つかってしまいました。
全くタイミングの悪い王子です。
それにしても、そんな勢いよく飛んできて、王子はこの子がそんなにお気に入りなのでしょうか?
そういえば、よく一緒にいるような……
派閥の子たちが、庶民がケレス様の婚約者にちょっかいを出してるなどと噂しているのを聞いたような覚えがあります。
もしかしてできているのでしょうか?
「説明しろ。ことと場合によっては」
「怖い怖い。ただ高貴な学園に穢れが紛れ込んでいたので、お掃除していただけですよ。あなたが後処理してくれるというなら、お願いいたしましょう」
「……」
……王子にこんな態度とるなんて、全く冷静じゃないわね。
いえ、そういえば……
ええ、そうよ。
私は悪くないわ。
イリスが誘拐された件、原因は王子にもあるもの。
ここ最近の王都の治安はひどいものだわ。
なんでも奴隷法の改正が原因だとか。
奴隷法改正って、確か王子の肝いりで行われたものじゃなかったかしら?
ここまで治安が悪くなければ、そもそも貴族の令嬢が誘拐されるなんてこと起こりえない。
ええ、そうよ。
あの子と王子も……
あの子と王子が……
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ー財団(旧○○)手記ー
あなたという個人は、想像以上にあなたに依存した存在だ。
人は育つ環境によって大きく変わるといわれるが、結局のところ根本になるその人はあまり変わらない。
ただ見え方が変わるだけである。
そう根本が変わらないからこそ、表は容易に傾いてしまう。
たとえどれほど本人が意識し、もしくは周りの誰かが意識していたとしても少し風が吹くだけで、くるりと回ってしまう。
想像してみよう。
もしあなたが幼少期に戻れたら?
きっと周りからのあなたの見え方は、大きく変わるであろう。
だがそれはあなただ。
根本は何も変わらない。
ほかの方向に曲がるにはかなりの強風が必要であろうが、元のあなたの方向にそよ風が吹いたとき、あなたは流されることはないかい?
あなたという個人は、想像以上にあなたに依存した存在である。
そして私たちは人である。
そう人間である。
ひとではあるが、同じ人間ではあるだろうか?
私は……
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