二話 悪役令嬢爆誕

 二話 悪役令嬢爆誕


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 後手後手というと、悪いイメージを持つものも多いだろう。

 実際後手に回ると、先手の打った手に対応する行動がメインになる以上、自分の思い道理に物事を進めることはできない。


 しかしそれが必ずしも悪手だとは限らない。

 先手がどれだけ最善手を打ち続けようと、決して間違えずとも、後手が必勝になる場合も多々ある。


 要は先手を取るにしても、後手をとるにしても、事前にゲーム自体を把握していなければ有利不利もないわけだ。


「ご主人様。噂の天才少女、学園でいじめられてるらしいですよ。かわいそうに、私のかわいい妹分が……」


 さて、私は先手を取られたのか、先手を譲ったのか……


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「ケレス、最近学園どう?」


「それが、聞いてください。イリスのこと貴族じゃないからって断ったくせに、平民が学園の生徒になってるんです」


「ああ、噂の」


「なんでイリスは、そんな淡白な反応なんですか!! 私絶対許せません!!」


「その子が特別天才だったから、特例が出ただけで……」


「確かにすごい子でしたけど、あんなのイリスの足元にも及びません。それに仮にそれが理由だったとしても、あの子だけ特例なんて、そんなことあっていいわけありません!!」


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 私というイレギュラーのせいで、ケレスという少女は大きく変わった。


 このまま主人公ちゃんとのイベントは何もなく、アルベード家の問題はこちらが優勢になれば公爵家がうまく処理して自然消滅。

 そんな都合のいい未来予想図は、残念ながらただの予想図でしかなかったようだ。


 ケレスは原作よろしく、主人公とは相いれない未来があるらしい。

 私というイレギュラーのせいで変わっても、私のことが火種になる。

 一度火が付けば、多少の湿気などものともせずに火は燃え広がることだろう。

 周りをすべて巻き込んで。


 ここまで不安定で、相性がいいのか悪いのかわからないものはそうそうないだろう。

 この火を、激しい化学反応を止めるには、この反応を+から-に持っていくには、並みの物質では手に負えない。


 ただ私はそれほどの物質にはなりえない。

 だから、反応そのものを、実験における前提をひっくり返す。


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