十三話 奴隷法改正

 十三話 奴隷法改正


 王子はこの国始まって以来の天才である。

 そして正妻の子供だ。

 王になることはもう確定事項であり、幼いころから政治にかかわってきた。


 これはゲームをやっての感想でしかないが、王子は少しいいひと過ぎて政治には向かないような気がする。

 その才覚で大概のことはどうとでもできるし、周りがすべて王子に心酔していればそんな心配などいらないが、王国は絶賛戦争中であり結構ピンチだ。

 そこの弱点の部分はいずれ主人公が補い完璧になるが、今の王子は持っている影響力のわりに結構ざるだ。


 だから変な人に利用でもされないか、少し心配になる。

 例えばそう、貴族のふりをしてパーティーに忍び込んだ誰かに……


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「ところで王子様。奴隷ってどう思いますか? 隣国ではとっくに廃止されたそうですが」


「同じ人をモノのように扱う今の制度に、思うところはある。だが……」


「ええ、我が国にとって奴隷はなくてはならない存在です。ただ、例えばそう今奴隷の就ける職業は本当に限られたものでしかありませんが、それを拡大するのはいかがでしょうか? 奴隷は、今よりずっと……」


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 奴隷法

 それは奴隷の扱いを定めた法律である。


 いくつもの国々が奴隷を制限、廃止にしているなか王国ではいまだ大量の奴隷が取引されている。

 そして取引された後の奴隷の扱いが、たびたび問題になっている。

 奴隷は人と物の中間の存在だ。

 そのため様々な制限があり、人としての尊厳も保証はされない。


 少女はそんな奴隷に心を痛めた (笑)

 せめて職業に制限をなくせば、奴隷の価値は今より高いものとなり扱いは改善するだろう。

 そう思ったのかどうかは定かではないが、王子はそう受け取りそれを実行した。


 王国にとってもそれは渡りに船だった。

 国際的に奴隷禁止の風潮の中の奴隷大国、しかも戦争中で劣勢。

 でも奴隷を禁止することはできない。

 そうである以上、これはポーズとして都合がよかったし、王子の民衆へのイメージアップ戦略としてもプラスに働く。


 そもそもこの法を作ったのは、王国に人手があふれ勢いのあった時代だ。

 今は状況が違う。

 たとえ奴隷でも働き手が欲しいのだ。

 奴隷法の改正は驚くほどスムーズに進んだ。


 それほど仲良くないはずの派閥が、何かを言うこともなく。

 経済界の大御所も、この大きな変革に反対はしなかった。

 まるで誰かがすでに裏回しでもしていたかのように。


 そしてこの変革は見事大成功した。


 今まで本当に一部の場でしか働くことのできなかった奴隷たちが、さまざまな場所で働くようになり、どんな奴隷も人としての価値が高まり環境は改善した。

 一部の教養を身に着けた奴隷は、下級貴族のいえに使用人として働きに出ているとか。


 奴隷は買い切りではなく、期間を決めての貸し出しが多くなった。

 人材というのは、何よりも代えがたい財産である。


 この波に乗じて奴隷を大量保有していたとある商会が……


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 ちなみに全体としての労働者は増えたが……

 自ら奴隷になる人もいるとかいないとか。


 それにしてもやっぱりお金は天下の周りモノだね。

 何に使ったか忘れたけど大量にお金を使って、でも気が付いたら何倍にも増えてたからね。


 派遣法、じゃなかった。

 労働法改正万歳!!


 ま、私には何の影響もないんだけど。

 ただお金が少し減って莫大に増えただけで。


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