第12話 みつかる未来とずれる時間
長く遠い宇宙の旅。
小さな宇宙船で、大きな星を見つけた。その星は機械でできていた。
広い船内を探索。
外から見た時は球形をしていた。中に入るといくつもの層になっていて、ちゃんと足が増したに吸い付くことを確認。つまり重力はある。
すると、ひとりの人間らしき女性に出会った。
人類にとても近い姿をしている。先に宇宙へ出発したご先祖さまかもしれない。
純粋な人間なのはすでにたったひとりだけだという。
あとは、まん丸の形をしたボール状の機械がころころと転がって、しゃべる。
どうして滅びたのか、と女性に尋ねる。
戦争があって、逃げ延びて、疲れ果てて、みんな死ぬことのない機械になっていったという。
機械と言っても知性は人間よりかなり劣るようだった。カタコトの言葉しか使わないし、その辺を無意味に転がっているだけのようにも見える。
そこまでして生きながらえる意味はあるのか、問う。
生きるのに意味はいらないわ、と返される。
自分がなぜ宇宙探索をしているかを改めて考える。
地球に代わる新しい居住地を見つけるためだ。ここはその手がかりになるかもしれない。早く地球に帰らなければ。
地球に帰るつもりならやめておきなさい、と女性に言われる。
なぜ、と聞き返す。
あなたは時間をかけすぎた。もう地球に人類は残っていないわ。女性は言う。
そんな馬鹿なと言い返す。ここに着くまでは通信も正常だった、返信もきていた。嘘だと叫ぶ。
この宙域は時間の流れが異常らしい。ここで過ごした1分は外部での1年間に相当するという。内部に入ってからすでに1週間が経っていた。その間、通信はしていない。
宇宙船に戻り、連絡を試みるが返信はなし。
ざーっという砂嵐音が流れるだけだった。地球が滅びたのかどうかはわからない。
また星のなかに入って人間と会う。
すぐに地球へ帰る、これでお別れだと言って去る。
女性は、ここへ来ればまた会えるわよ、といって微笑んでいた。
どうやら自分は不老不死とでも言いたいようで、焦っていたのについ笑ってしまっていた。地球がもし生きていたらきっと素晴らしい成果になるだろう。
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