第23話


怨恨が滲み出ている。

つい先日まで長寿の樹が存在していた場所から。


その樹は周りとは少し異なる伸び方をしていた。

と言っても崖から斜めに伸びているというだけの話だった。


見た目も少し変わっていた。

と言っても周りより少し暗い色をしていて、

模様なのか染みなのか、何かの顔のように見えるそれがある。

ただそれだけの話だった。


元々この樹が邪魔だという声はあったが、伐採するという話が上がることはなかった。

それが最近になって急に伐採の話が上がり、とんとん拍子に話が進み

その樹は綺麗に伐採されたのだった。


赤黒いドロドロしたものが溢れ出した。

どくどくと噴き出ている。


1度は止まりかけたのだが、

この付近を大雨が襲った。


固まったものが表面を覆っていたようだが、大雨で流されてしまったのだろう。

再びドロドロしたものが噴き出した。

むしろ、始めよりも勢いを増している。

気のせいか悲鳴のような声が聞こえる。


ドロドロも悲鳴も今だ止まる気配はない。

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