二百六十三話 フリーズランド23

上空からあの鳴き声がする。



俺とタチアナ、そして白い女までもが

その鳴き声に反応して空を見上げた。



「ピィーーーー!!」



「ペルー!」



そこにいたのは、たくさんの仲間を

引き連れたペルーだった。



俺の声を聞いてペルーは嬉しそうに

もう一度鳴き、それを真似して

他の鳥たちも鳴き始める。



「危険でありんす! ソナタ達は

隠れておれ!」



「ピィピィピイ!!!」



ペルーは困惑している白い女に

近寄り、何やら何かを訴えている

ようだった。













「すまなかったでありんす。

ソナタ達がわらわの仲間を

ここまで連れて来てくれたとは......

わらわはソナタ達になんと詫びれば

よいか......」



「いや、わかってくれた

だけでもいいさ。

それに、私達も君の大切な仲間を

傷つけようとしてしまったわけだし、

謝らなければならないのはこちらの

方だ。」



ペルーの説得によって、

俺たちを敵視していた吹雪姫は

やっと俺たちが敵ではないことを

理解し、今はタチアナと和解を

している。

俺はちなみに吹雪姫が異次元で

怪我したところを治していた。



「よし、もう動いてもいいぞ。」



「ありがとう。そう言えばオスよ、

ソナタは強いのう。恐れいった

でありんす。」



「そりゃどうも。」



「わらわにその強さの

秘訣を教えてくれぬかや?」



「やだよ。」



「冷たいのう。それでは、メスに

嫌われるでありんす。のう?」



と、吹雪姫はニヤニヤしながら

タチアナを見る。



「!? か、彼は転生者だからな!

強いのは当たり前だ!」



「ほう......転生者......

わらわが人間の頃はよくその名が

話題に上がっておったでありんす。

何でも魔族と戦うために必要だ

とかで──」



「? 吹雪姫。昔は人間だったのか?」



「そうじゃ。今は魔族じゃがの。」



それを聞いて、ええ!!!!????

とタチアナは驚嘆する。



「ちなみにこの島では幹部を

任されておるでありんす。」



更にそれを聞いてタチアナは

驚く。



「気づいてなかったのかや?」



「当たり前だ! は、隼人は

気づいていたのか?」



「んまあ、この島の主だって

言ってたし......」



「......そうか......よくよく考えて

みれば......確かに......」



「ピィ!」



落ち込んだタチアナをすかさず

ペルーがフォローする。

そんな仲のいい様子を見て、

吹雪姫は微笑んだ。



「なんで人間から魔族に

なったのか聞いてもいいか?」



「それを聞いてどうするのかや?」



「ちょっと気になっただけだ。

深い意味はない。」



「......まあいいでありんす。

隠すつもりもないからのう。」


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