百四十一話 三日月島6

それから更に海底洞窟を進み続け、

休憩をしようと壁にもたれかかって

いた頃。



「おい......ペルー。いい加減どけって......

頭が重たいって。」



これまでも何度か声をかけても、

全く反応を示さないペルーに

対し、俺は少しイライラしていた。



「ペルー。どいてあげたらどうだ?

そろそろ隼人も疲れているようだぞ?」




「......ピィ......」



するとようやくペルーは声をもらした。



「そうだぞ。お前、自分がまあまあ

大きい鳥ってわかってないだろ。」



「......」



「俺の時は無視かよ......」



「どうしたのだ? どこか体調でも悪い

のか?」



「ピィピィ。」



ペルーはタチアナの言葉に対して

首を横に振る。



「?」



「おい、ペルー、お前このまま俺の

頭に居座るつもりなら覚悟しとけよ。

髪の毛洗うときはお前ごと

シャンプーまみれにしてやるからな。」



「ピッ......」



「そしたら目にシャンプーが

入って痛いぞー。もし痛くても

止めないからな。一生俺の頭から

離れられないように、紐で縛りつけ──」



俺の脅しにペルーはようやく、俺の頭から

離れて地面に降りた。



「ふぅ......」



俺はペルーの重みがなくなり、

こった肩をほぐす。

そして、ペルーがずっと居座っていた

せいで乱れた髪を直そうと、

髪の毛に手をのばした。











「どぅおい!! ペルー!!!!!」



俺はようやくそれに気がついた。



「お前! 俺の頭にう◯こしただろ!!」



「......」



ペルーを見ると、分かりやすく目をそらす。



「お前、これがバレないようにずっと

俺の頭から離れなかったんだな!」



「......」



「どうしたのだ、隼人。いきなり大声を

出して。」



「タチアナ、ペルーが俺の頭に

糞したんだよ。」



「ピィピィ!!」



「え? 我慢できなかったんだから

仕方ないだろって? それなら、

いつものように、そこら辺ですれば

よかっただろ。」



「ピピィピィピ!」



「え?恥ずかしいって? なんでだよ!

メグの前ではぶりぶりだったじゃんかよ!」



「......ピィ......」



「......あぁ、悪いな。メグのこと

思い出させちゃって。いやでも、ほら。

また会えるしさ。そんなに気を落と

すなよ......って、そうじゃなくて!

どうすんだよ、マジで。こんな場所じゃ

洗う水も無いのによ......」



「はぁ......一体何をしているんだ

......お前達は......」



隣で俺とペルーのやりとりを見ていた

タチアナは、呆れてため息をついた。

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