九十七話 エレディア村3

「どうし──」



俺がそう聞こうとした瞬間



「痛い痛いっ、な、なんですか!?」



彼女はものすごいスピードで

俺の背後をとり、俺の右腕を後ろに

曲げて俺が力を込めれないように

技をかけてくる。



「動くな、隼人。

今から私が質問することに

素直に答えろ。でなければ......」


彼女は更に俺の右腕を後ろに

曲げる。



「わ、わかりました。」



「よし、では最初の質問だが......

君のあのときの力はなんだ?」



「ち、力? なんのことかさっぱっ!

痛い! 痛い!」



「とぼけるな。地上で我々を

襲ってきた幹部を倒した時の

力のことだ。」



彼女が俺と話したいと言われてから、

おそらくこのことだろうなと

検討はついていたが、まさかこんなにも

強引な手段を取ってくるとは

思わなかった。




「......」



「......そうか、いいだろう。では

次の質問だ。約一ヶ月前、私と君は

ヘルドラの討伐で一緒だったな。

その任務で幹部を倒したのは

私ということになっているが、

あれは君がやったのではないか?」



「いや、さっきから何言ってっ!

痛い! 痛いです!」




「もう一度聞くぞ、あれをやったのは

君だな?」



「俺は何もしていませんよ!

だってほら! 俺、ラーバとかいうやつに

眠らされてましたし!」



「......そうか。」



ようやくわかってくれたか......



俺はふぅと安堵のため息をついた。



しかし



「痛い! ほんとに折れますって!」



彼女はよりいっそう俺の腕を曲げる。



「やはり、君か。」



「は、は? だから違うって──」



「違う? ならどうして君はあの任務で

ラーバが出没していた

ことを知っているんだ?」







あ......

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