九十一話 ジュラ島17

「鉄壁シールド!」



咳を繰り返すタチアナと

不安げに彼女に寄り添うペルーに

もしもの時の為に隼人は

魔法をかける。



隼人がこの二体が同時に現れた

要因は、先程の経緯から自分の使った魔法。

つまり、この二体は魔法を感知

して敵を発見することができる

と推測した。



もし、それが合っているのであれば

このまま逃げきれても、タチアナに

リカバリーを使えばまた見つかって

しまう。



ならば、この二体をここで始末

しないことには、彼女が助かる道はない。

そう確信した隼人は、何度やっても

鳴ったことの無い、指ポキポキの

動作をしながら機械獣を待ち構える

のだった。













先に隼人の標的になったのは、

移動速度の速い空飛ぶ機械獣だった。



隼人は魔法をかけずに自身の脚力

だけで、木々を蹴りながら上空へと

飛び上がる。



すると、

自分よりも高く飛び上がった隼人を

機械獣は格好の獲物と、銃弾を

乱射する。



十、百、千、万。



撃たれた銃弾の数は、隼人が機械獣に

しがみつくまで増え続けた。




どんっ!



重そうな音をたてて、隼人は機械獣

にしがみつく。



ぶんぶんと狼狽した機械獣は暴れ

始めたが、隼人はそれを静めるように、

左手はちょうど掴みやすい銃口を、

二度と弾が撃てないように捻りながら

握り、右手で何度も何度も機体が

粉々になるまで殴り続けた。


隼人がしがみついてから、

機械獣を破壊するまでの時間、

僅か5秒。


今度は

浮遊する力のなくなった機械獣から

手を離し、地面を這うもう一体の

機械獣の真上に上手く軌道を合わせながら

落下する。




そして



隼人は両手を握り、ハンマーのような

形を作って、落下スピードの

勢いを重ねて、あと少しでタチアナに

攻撃を加えることができそうな距離まで

近づいていた機械獣を上から

叩き潰した。

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